山岡「そうですよ。そう思ったから先生をここにお連れしたんです。
日本のグルメブームがこんなにだらしなくなったのは話題を盛り上げ、流行を作り出し、
おもしろおかしく煽り立てたジャーナリズムと食品産業の言いなりになってきた御用評論家の声が大きかったからでです。
真剣に食文化を論じ、食べ物についての正しい理解を訴えるものがあまりに少なかった。
それに対して桜田さん貴方は何をしてきたんですか。他国の文化の華を楽しむのもいいでしょう。
しかし、それだけを刈り取ってそれでよしとする今の日本は異常です。
自分達の食文化の基礎をしっかりと踏まえないと表面的な華やかさに流されるだけで、
自らの文化も見失い、他国の文化も心底理解することができないでしょう。
日本の食文化の基盤は胡麻豆腐に限らず幾つもあります。その基盤を理解させていったら、
浅薄なグルメブームを奥の深いものに変えていけるんじゃないでしょうか。
そういうことを書くのは業者と癒着した評論家や裏雲からの記事に仕立てるジャーナリズムにはできません。
桜田さん。貴方だけができることです。俺たちの究極のメニューだって浅薄で空しいグルメブームを追っているつもりはありません。
食文化の本質をとらえたいと思っているんです。