「北条早雲」という呼称は、史実的には適切ではない場合が多く、フィクションの影響を受けている可能性があります。

北条早雲は、15世紀後半から16世紀前半にかけて活躍した武将です。本名は 伊勢盛時(いせ もりとき) または 北条早良(ほうじょう はやら) と言われています。「北条早雲」という名前は、江戸時代の軍学者・山岡元隣(やまおか もとなり)が著した『北条記』の中で初めて登場し、一般的に知られるようになりました。

しかし、北条早雲 という名前は、史料にはほとんど登場しません。伊勢盛時 や 北条早良 という名前の方が史料的に確実とされています。

さらに、北条早雲 という名前は、早雲城 という城の名前と結びついていることも指摘されています。早雲城 は、北条早雲が築城したとされる城ですが、実際には北条氏康の時代に築城されたことがわかっています。

このように、北条早雲 という呼称には、史実的な根拠が乏しい部分があります。そのため、史実を語る際には、伊勢盛時 や 北条早良 などの名前を使う方が適切と言えるでしょう。

ただし、北条早雲 という名前は、一般的に広く知られており、親しみやすいという側面もあります。そのため、あくまでも注意が必要であるという点を踏まえつつ、状況に応じて適切な呼称を使い分けることが重要です。