波平さんがバトルロワイヤルを主催するスレ
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|/ _|||||||_\| < おまえたちに
\ \_/ / \ ころしあいをしてもらいます
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レ::::::::::::::::::|/::: ̄`ー‐---‐′ 「どうもすんません、お世話になっちまって」
「お前、磯野さんとことかに出入りしてる大工の見習いだろう?」
三河屋の店主はジミーに水を薦めながら言った。
「最初は正直、チャラチャラした気にいらん奴だと思ってたんだがよお。大工仕事はしっかりしてる様だし、なかなかしっかりした若者じゃねえか。
少なくとも、うちのサブなんあよりはなあ」
そういう三河屋の横顔は、なぜかとても寂しそうに見えた。
しかしそれよりもジミーが意外に思ったのは、主人がいつもと同じ、三河屋の店頭に出る時の服装をしていたことだ。
「あの……こんな時でも、お店やってるんですか?」
「ったりめえよ! 俺が店を開かなけりゃ、みんな食うもんに困るじゃねえか」
ジミーは少し感心した。自分なら、その食料を独り占めして篭城しようとでも思っただろう。
水を飲み終えたジミーは、少しためらった後、三河屋にこう質問した。
「三河屋さんはどう思ってるんです? この、磯野さんがはじめたことについて」
三河屋は渋い顔になった。
「そりゃ、磯野さんには日ごろから世話になってるさ。けど、今回のことは許せねえ。
こんなに大勢の人を死なせて、それでたとえ盆栽が戻ってきたとしたって、何になるってんだ」
怒りというよりも、当惑に近い感情を圧縮して吐き出したかのようだった。
「じゃあ……磯野さんのやったこと、間違いだったと思いますか?」
「おお。こんなことはなんとしてでも止めさせなきゃいけねえ。
俺は普段の磯野さんのことを知ってるからこそ許せねえんだ。
あんな今時珍しいくれえまっすぐで正しかった人が、盆栽一つでこうも変わっちまうのかってな」
三河屋は、これ以上はもう話したくないとでも言うかのように、立ち上がってジミーに背を向けた。店番に戻るのだろう。
ジミーは素早く跳ね起きた。そして、いつも首に巻いているヘッドホンのコードを三河屋の首に巻きつけた。
三河屋の抵抗は一瞬の間だけだった。油断しきっていたからか、あるいは、「もう、これでいいさ」とでも思ったのか。
ジミーが力を抜くと、三河屋の亡骸は床の上に崩れ落ちた。
ジミーは知っていた。
波平はいつだって。自分に正しい道を教えてくれることに。
だから波平が言ったことは、いつだって、絶対に、正しい。
そう信じていた。
三河屋の死体を後に残して、ジミーは部屋を後にする。
後悔も、逡巡も無かった。
波平は、絶対に、正しいのだから。
【6日目 午後11時】
【三河屋】
【大工のジミー】
状態:健康
装備:支給品一式×2(リカの分含む)
武装:大工道具一式(カンナ・金槌・釘・ノコギリ) 、斧、出刃包丁
思考:波平に従い、殺し合いを行う
【三河屋店主 死亡確認】
残り34人
ハヤカワの初恋は、周囲と比べてやや遅かった。
だが、その炎の燃え方は、クラスメートの誰よりも激しかった。
カツオや中島のような同級生には、ハヤカワは全く興味が無かった。
カツオに熱を上げる花沢には、ある種の軽蔑すらも感じていた。
ハヤカワが恋に落ちた相手は、自分の何倍もの年月を生きてきた、初老の異性。
そして、彼女の担任の教師。
そんな相手と逢瀬を重ねることがどんな結果をもたらすのか、生徒であるハヤカワにもわかっていた。
しかし、彼女の情熱は、そんな幼い理性を吹き飛ばした。
「ん……」
殺し合いが始まってから何度目かの逢瀬の後、衣服を身に着けていないハヤカワは、同じく生まれたままの姿の先生の前で目を覚ました。
先生は既に起きていた。が、いつものように甘い声で彼女の頭を撫でようとはしなかった。
優しそうな、それでいて寂しそうな目でハヤカワを見つめている。
「先生、どうかしましたか?」
彼は黙って首を振った。
今日、外出先から戻ってというもの、ずっとこの調子だった。
「先生」
ハヤカワは先生の首に手を回す。
「私に、隠し事をする必要があるんですか?」
先生は答えない。ただ優しい目で彼女を見る。
……彼が他の生徒たちを見るのと、全く同じ目で。
それが、ハヤカワには許せなかった。
「せん――」
しかし彼女が気持ちを吐き出すよりも先に、先生の目から涙が零れ落ちた。
「私は……守れなかったんだ」
それはおそらく、目の前にいる少女に向けての言葉では無かった。
「みんな、みんな、守ってやると誓ったのに……私は……私は……」
「それは先生のせいじゃありません! みんなが死んだのは、磯野君のお父さんが……」 「違う!!」
ハヤカワの前で初めて、先生は感情を曝け出した。
「命だけじゃない、私は、私は、心も守れなかったんだ!!
死んでいった橋本たちも……生き残った、西原すらも!!
なのに、なのに、なんでこれ以上お前を抱くことが出来る!!」
先生は崩れ落ちるように枕に顔を埋めた。
「……もう、帰るんだ」
ハヤカワは耳を疑った。
「私には、もう、お前を抱く資格は無い」
それ以上の説明は不要だと、その背中が言っていた。
許せなかった。
「……私は、」
だが、ハヤカワの言葉は玄関先から聞こえた声で遮られた。
「ちわーす!! 三河屋でーす!!」 【6日目 午前10時】
【先生の家】
【先生】
状態:健康
装備:支給品一式
武装:不明
思考:
基本・絶望
1・ハヤカワとはもう別れる
【ハヤカワ】
状態:健康
装備:支給品一式
武装:不明
思考:
1・先生とずっと一緒にいる
【サブちゃん】
状態:健康
装備:支給品一式
武装:不明
思考:不明 海平とマスオの母はとりあえず空いていたビジネスホテルの部屋を取った。
一日中歩き回って、手に入った情報はほとんどない。
今家族たちの身に何が起きているのか、彼らが無事に生きているのかすらも、全くわからない。
「とにかく明日も続けましょう。もしかしたら、何かを知っている人に会えるかもしれません」
海平はマスオの母にそういい残すと、足取りも重く自分の部屋へと入っていった。
マスオの母の部屋は一階上である。
荷物を床に降ろし、着物の帯を緩めてベッドの上に腰を下ろす。
思うことは一つだけだった。
(マスオ……サザエさん……タラちゃん……どこにいてはるんや……今、何をしてはるんや……)
着替える気にも、風呂に入る気にもならない。
そう言えば、午後になってからは水しか飲んでいない。ルームサービスでも頼むべきだろうか。
そう思っていたちょうどその時、部屋のインターホンが鳴った。おそらく海平だろう。
マスオの母は急いで扉を開けた。
そして、来訪者の顔を確認するよりも先に気を失った。
「気がつきましたか!?」
目を覚ましたマスオの母の前には、彼女と同じく着物を着た女性が立っている。
マスオの母は手を後ろ手に縛られている。
だが闖入者は、強盗というにはどこか様子がおかしかった。
「あなた、マスオさんのお母様らしいですな」
「ど、どうしてそれを……」
「ある人に教えてもらいましてん」
どこか余裕のあるように見えるのは、その協力者の存在のせいだろうか。 「わ、私をどうする気ですん?」
「安心してください、あなたを殺すとか、どうこうする気はありません。
あなたは大事な人質です」
「人質? そ、そもそもあんたは……」
「申し送れました。私は波野というものです。お会いするのは初めてでしたな?」
「あ……」
言われてみれば、ノリスケに似ている部分がある気がする。
「あなたも息子さんを心配して上京したんでしょう? 私も同じです」
「せ、せやったらなんでこんなマネを?」
ノリスケの母は自信ありげに含み笑いをして言った。
「私はあなたたちとは違います。あくまでも、うちの息子だけ助けたいんですわ。
他の人たちなんかどうなってもいい。マスオさんたちだけやない、あんたも、海平さんも、みんなどうでもいい。
やから私は、あなたたちみたいな悠長な真似はしませんわ。悪の親玉と戦います」
悪と戦う? 一体何を言い出すのか、この女は。
しかし次の彼女のセリフは、それ以上の驚きをマスオの母に与えた。
「私はあんたを人質に取って、このホテルに立て篭もります。
そして、日本政府を相手に交渉します。ノリスケの生きてる町で何が起きてるのか明らかにして、
私の息子だけでも保護するように!!」
【五日目 午後3時】
【会場外】
【磯野海平】
状態:健康
装備:なし
武装:なし
思考:
1・波平たちの行方を捜す
※殺し合いに参加していません
【マスオの母】
状態:健康
装備:なし
武装:なし
思考:
1・波平たちの行方を捜す
※殺し合いに参加していません
【ノリスケの母】
状態:健康
装備:なし
武装:なし
思考:
1・マスオの母を人質にホテル立て篭もる
※殺し合いに参加していません 投下乙です。
やはり何年経っても親子の絆は切れないものなのですね。
でも自分の息子だけはちょっとひどいwwwwww
ともかく投下乙です!! 四連投下乙です!
橋本を誤殺しちゃった西原の心の中がツラい……
そして逆らえないと思ったジミーも何か深みが出てくるキャラに!
三河や店主がかっこいいなあ
とおもったら次の話ではサブちゃんがシリアスブレイカーしてるしw
ロリペド先生は悩む方向が違うような……?
ハヤカワにマーダーフラグも有るし、外部では大変なことが起こってるし!
ラジオから来た勢ですが、本当に面白いです!
応援してます! 乙!
先生、ついに生徒と決別するんだな……
ジミーは波平盲信しすぎや、怖っ、近づかんでおこ
そしてゲーム外で行われる不穏なやり取り
これからも見離せないぜ! 投下乙です
日本政府と交渉wwwww
なんだか凄いことになっちゃったぞ無論良い意味で 皆様、多くの感想本当にありがとうございます
これからも波平ロワをどうか宜しくお願い致します 波平 47話(+ 4) 28/39 (- 1) 71.8(- 2.6) いつからだろう。
人の前で、上手に笑えなくなってしまったのは。
いつからだろう。
自分の料理を食べてくれる人たちに、素直に感謝の気持ちを伝えられなくなったのは。
いつからだろう。
そんなことを、寂しいとすらも思えなくなってしまったのは。
がんこ亭の店内は惨状を極めていた。
几帳面に並べられていた椅子や机はひっくり返り、店主が心を込めて準備した調味料や箸の入れ物が砕けて中身を散乱させていた。
ガラスの破片が床一面に散らばっている。
そして、一台のバスが厨房の真ん前に停車していた。
「……何のつもりだ?」
店をめちゃくちゃにされたがんこ亭店主が、怒りを隠さない口調でバスに乗った二人組に問いかける。
ハンドルを握る唇の厚い男と、鉛筆削りのような奇妙な機械。
殺意を持っているのは明白だった。が、答えようとしない。
「おい大将!!」
テーブルの下に逃げ込んで難を逃れたハチが甲高い声で叫ぶ。
「相手にするな!! この隙に逃げるぞ!!」 戦って勝ち目があるとは限らない、そう判断しての発言である。
そしてそれは、がんこ亭店主にとっても同様だった。バスの力になど敵うわけは無い。
例え悔しくても、ここはバスが追いかけてこれないルートで逃げるのが得策なのは判りきっていた。
相手はバスを降りて追ってくるかもしれないが、そうなればバスの中から引きずり出したも同然、互角以上に持ち込める。
少しの沈黙を挟んでがんこ亭店主は言った。
「店の奥にもう一人いる。そいつは怪我をしてて動けねえ」
「わかった。じゃあ俺がなんとか時間を稼ぐ。あんたはそいつを連れて、裏口からでも逃げてくれ」
「なんでお前が……」
ここには自分が残る、と言おうとして気がついた。
ハチの体格では他の参加者を連れて逃げることは出来ない。ハチがここに残り、自分は全自動卵割り機を連れて逃げるというのが得策なのだ。
(なんで俺はこう、助けられてばかりなんだろうな)
だがそんな悲痛は顔には出さず、店主はハチに目配せだけをして、店の奥へと入っていった。 一方、バスの中の二人、アナゴとグルグルダシトールもまた、相手の出方を窺っていた。
バスを店に突入させるという大胆な行動に出たにも関わらず、店内を荒らしたのみで店内の戦力を削れなかったのは想定外だった。
「どうする、グルグルダシトール」
「知れた事。こうなった以上は打って出るしかあるまい」
彼らがここを標的にしたのは、ここが名簿に記された参加者の溜まり場になるのを恐れてのことだった。
マスオはアナゴと一緒にこの店に来たことがあるし、サザエやタイコらも来たことがあるはずだ。
営業が不可能になるまで店内を破壊することは出来た以上、当初の目的は達成したとも言える。
しかし、
「ノリスケ様の命を奪った者が奴らである可能性がある以上……そうでなくても、奴らが誰がノリスケ様を殺めたかを知っている可能性がある以上、手ぶらでは帰れぬ」
「同感だあ。俺も、目の前に獲物がいるのにおちおち逃げるのは気が引ける」
ノリスケの敵を討つことだけを考えるグルグルダシトールと、マスオを生かすため彼以外を全員始末したいアナゴとの思惑は、利害以外の見解で一致した。
「だけど、車外に打って出るのは賭けになるな。向こうにもどんな武器があるかわかったもんじゃない」
グルグルダシトールもそれには同意する。迂闊に動くことが出来ず、車内でじっとチャンスを窺う二人。
その時、店内に居た店主とハチのうち、店主が厨房の奥へと引っ込んでいった。
残ったのはハチのみ。またと無いチャンスと言っていい。
「殺さず、捕らえて欲しい。ノリスケ様を殺害したのが誰なのか、拷問してでも聞き出したい」
「わかってるさぁ〜」
アナゴはグルグルダシトールを抱えると、バスのドアを開けて車外へと飛び出した。 厨房の奥に戻ったがんこ亭店主は、布団に寝かせていた全自動卵割り機をゆすって起こした。
「おい、逃げるぞ」
細かい説明は後で、という意味も込めた簡潔な言葉だった。
だが帰ってきた返事は、
「もう……ボクなんかほっといてよ。ここで死んだほうが、ずっといい」
「何を言っている?」
「だって、死ねばタラチャンに会える。生きていたって、一人ぼっちになるだけじゃないか。
僕はタラチャンさえ居てくれればいいよ。だから、タラチャンのところに行かせてよ、ねえ、お願いだからさ」
店主は無言で、全自動卵割り機の体を抱き上げ走りだした。
(ったく、俺って奴は。なんだってこんな時に……)
どうして、人と本音で話すことを避けて生きてきたんだろう。
どうして、笑えなくなってしまったんだろう。
どうして、要らぬ意地ばかり張ってきたんだろう。
(こんな時に、気の利いた言葉の一つも言えなくてどうするってんだよ……俺は……俺は……!!)
一人ぼっちはイヤだって?
バカやろう、その歳で俺みたいなことを言うんじゃねえ。
全自動卵割り機を抱えて、がんこ亭店主はただただ走った。 【六日目・午後十時】
【がんこ亭店内】
【がんこ亭店主】(名簿外)
状態:健康
装備:支給品一式
武装:不明
思考:
1:全自動卵割り機を連れて逃げる。べ、別にただ怪我をしてるのに放っておけないだけなんだからね!!
【全自動卵割り機】
状態:破損(命に別状なし)
装備:なし(支給品焼失)
武装:なし
思考:
1・………
【ハチ】
状態:健康
装備:支給品一式
武装:不明
思考:基本・自分の家族を守る
1:アナゴとグルグルダシトールを足止めする 投下乙!
がんこ亭亭主イケメンすぎ。
でもやっぱり普通に喋ってる全自動卵割り機がシュールすぎるwwww 投下乙!
がんこ亭亭主かっこよすぎだろう・・・・・・
いつからだろうな、素直に笑えなくなってしまったのは 家の門の外に出た伊佐坂と校長、およびマスオとワカメは、こちらに迫り来るものを見て絶句した。
それはざっと三十メートルはあるかという巨大な木製のロボットだった。
さらにカツオとフネ、オカルも遅れて家から出てきた。
(棟梁、か!?)
その場にいた全員が思った。こんなものを作れるのはこの町では棟梁しかいない。
「おいおい、反則だろう、こんなの……」
マスオが途方に暮れたような声を出す。こっちは磯野家と伊佐坂家を合計しても大人が四人、子どもが二人に子どもの姿をした大人が二人。こんなロボットとどう戦えというのか。
(いや、待て、サザエは!?)
マスオはそこに集った面々の中に、妻の姿が無いことに気付いた。
何かあったのかと思ったが、貴重な戦力である自分が今この場を離れるわけにはいかない。
「カツオくん、ワカメちゃん、サザエを探してきてくれないか!!」
だがその声に、カツオは首を横に振ることで答えた。
「マスオ兄さんたちは家に戻って、姉さんを連れて裏口から逃げて!! 細い路地に逃げ込めば、こんなでかい奴は手を出せないはずだよ!!」
「お兄ちゃんはどうするの?」
「僕は出来る限り、こいつをうちから遠ざけてみるよ。足だってそう速いとは思えないし、まず逃げ切れると思う」
マスオは慌ててカツオの肩をつかむ。
「ダメだ、その役目は僕がやろう」
「大人よりも子どものほうが撹乱には向いているさ!! ここは僕に任せて、みんなは早く!!」 ロボットの上が電柱をなぎ倒し、大きな振動が皆を襲った。
その弾みでマスオの力が少し緩んだのを見逃さず、カツオは彼の手を振り払ってロボットに向かって走りだした。
「待ってくれ、カツオく……」
「カツオ、やめなさい!!」
悲痛ささえも含んだフネの声が響き渡ったが、カツオは足を止めることなくロボットに向かっていった。
ロボットの操縦者もそれに気付いたのか、その巨大な腕をカツオに伸ばす。
それは軽々とかわしたカツオだったが、反対方向から伸びてきたもう一本の腕は、彼からは完全に刺客になっていた。
「カ、カツオくん!!」
思わず駆け寄ろうとしたマスオだったが、彼よりも先に足が動いていた者がいた。
少女の姿をした伊佐坂難物である。
伊佐坂はすんでのところでカツオを突き飛ばし、彼の身を守った。
だがカツオを捉え損ねたロボットの腕は、伊佐坂の右腕をしっかりと握った。
骨が砕ける音がカツオの耳にまで聞こえてくる。あの木製の太い指で掴まれたら一たまりもあるまい。
ましてや、製作者はあの棟梁なのだ。
ロボットは少女の腕を絞り上げるように握ったまま、その体を高く持ち上げた。
腕に走る激痛に顔をしかめながら、伊佐坂はコックピットの中を覗き見、そして驚愕した。
彼も操縦者は棟梁に違いないと思っていた。なので、操縦桿を握るホリカワの姿には、
「ど、どうして君が……」
と言うしか無かった。ホリカワは答える代わりに、人形の腕を持って振り回すように伊佐坂を振り回した。
伊佐坂の右腕は千切れ、血を噴出しながらその少女の体はゴミステーションのゴミの山の上に落とされた。
もちろん深夜にゴミを棄てるのは非常識だが、今回はそのゴミがクッションとなって伊佐坂を即死から救った。 「あ、あ、あ、……」
真っ赤に迫るゴミ袋の山を見て、血相を変えたのはオカルだった。
「いやあああああああ、あなたああああああああああ!!」
今まで家族の誰も見たことのないほどに取り乱し、血の海に横たわる夫のもとへと走る。
「あなた、あなた、どうか、どうかしっかりして!! お願いだから生きていて!!
姿なんかどうなったってかまわないから、今の姿のままで構わないから、どうか生きていて!!」
わめきちらしながら駆け寄るオカル。しかしその腕が愛する夫の体に触れるよりも先に、再び歩みを進めだしたロボットが、彼女の体をいともたやすく踏み潰した。
【七日目 午前零時】
【磯野家と伊佐坂家前の路上】
【フグ田マスオ】
状態:健康
装備:支給品一式
武装:不明
思考:
基本・何が何でも家族を生き延びさせる。そのためには他人を利用することも厭わない
1・ロボットに対処 【磯野ワカメ】
状態:健康
装備:支給品一式
武装:ワイヤー、文化包丁
思考:
基本・家族以外の人間を全員殺害する
1・ロボットに対処
【磯野カツオ】
状態:健康
装備:支給品一式
武装:不明
思考:
基本・絶対に殺し合いを終わらせる
1・呆然
2・中島、西原、花沢、ハヤカワの捜索
3・中島の目を覚ませる
【磯野フネ】
状態:健康
装備:支給品一式
武装:不明
思考:
1・家族を守る 【伊佐坂難物】
状態:健康 体は10歳の少女のもの 右腕切断 瀕死
装備:支給品一式
武装:不明
思考:
基本・ノリスケの仇を討つために波平を倒す(殺し合いには乗らない)
1・不明
【校長】 (名簿外)
状態:健康 体は十歳の少女のもの
装備:支給品一式
武装:不明
思考:基本・元の体に戻る、生徒と教職員を守る
1・呆然
【ホリカワ】
状態:手首に損傷
装備:支給品一式
武装:ワイヤー、拳銃、巨大ロボット
思考:
1・ワカメ以外の人間は皆殺し
【伊佐坂オカル 死亡確認】 投下乙
一気に事態が動いてきたような……
因縁と思惑が交差していくなあ 波平 49話(+ 2) 27/39 (- 1) 69.2(- 2.6) 花沢不動産社長は、携帯電話の画面を見て舌打ちした。
「棟梁のロボットと磯野さんちがついに衝突したか……中島くんたちはまだ現場に着いていないようだな。しかし、今から行っても何が出来るか……」
磯野家と駅前で起きている二つの戦闘についての情報は、町中にいる協力者たちから次々に寄せられてくる。
こんな大きく戦局が動く局面を見逃すわけには行かなかったが、大っぴらに出て行くわけにも行かない。
現場については中島たち一味の者に任せて、自分はあくまで「不動産屋」としての仕事をしなくてはいけない。
夜闇と混乱に紛れて花之丞がやってきたのは、ちょっとした知り合い関係にあるリカの家だった。
目的はリカの家族の状況を探ること。
母親は放送で死亡を確認したが、父親とリカについては情報が少なかった。
リカは今日の夕方までは目撃情報があるが、子どもゆえに不確定要素が大きい。
「ここいらで確定させとかないと、今後ちょっと動きにくいからなあ……」
知り合いという者は、味方にもしやすいが一歩間違えば足を掬われかねない存在である。
花之丞は不動産屋社長の特権として手にしている合鍵でリカの家へと侵入した。
足を忍ばせて部屋の中を一つ一つ見て回る。
最初に目にしたのは、リビングルームの中央に横たわる女性の死体。
リカの母親のものに相違なかった。
花之丞は顔色一つ変えずにその死体を検分する。死因は背中からの刺殺だった。
家の中で事切れているところからすると、犯人はもしかしたら……
さらに台所の生ゴミの腐敗具合や埃の量から、丸一日はこの家に誰も帰っていないことを確信した。
そもそも死体をそのまま放置しているくらいなのだから、ここへ戻るつもりもないのだろう。 リカと父親の向かった先を突き止めようと、さらに家の中を渉猟する。
特に目を引くようなものはなく、花之丞はただ、この家をこの状況下で誰かに貸すとしたらどれくらいの家賃が妥当だろう、ということのみを考えていた。
ある扉の前で、花之丞は立ち止まった。
五感が何かを感じ取ったのか、あるいは単なる勘か。
答えを出すのは後回しにして、その風呂場のドアを開いた。
中にあった二人分の死体を眼にして、花之丞は初めて驚愕した。
人が死んでいたから、ではもちろんない。
そこにあったのは服装からしても体格からしても、リカとその父親のものに相違なかった。
ただ一つだけ不可解なこと――それはその二人分の遺体、殊にリカのものが、どう見ても死後数日以上経っていたことである。 「花沢さんのお父さんが第一発見者になったか……しかし、果たして真実に気がつくかどうか、見ものだのう」
主催本部にて、椅子の上でモニターでリカの家の様子を見ていた波平は愉しそうに笑った。
その傍らには波平の片腕、磯野藻屑が実体化して経っている。
「雪室先生の世界のデータを用いてリカの偽者を再現するのはなかなか骨の折れる作業だったのだぞ。雪室先生を間違ってこっちの世界につれてきてしまうというオマケまであったしのう。それなりに愉しい結果になってくれんと困るわい」
「わかっていますよご先祖様、ようやくそうなりそうじゃないですか」
波平は藻屑の愚痴に、自信満々な様子で答えた。
そう、「リカ」などという少女は、この世にはもういないのだ。
本物のリカは殺し合いが始まった直後、気のふれた母親によって殺害された。父親も一緒にだ。
今殺し合いに参加しているのは、雪室先生の脳内の情報から再現した、不完全な偽者にすぎなかった。
あまりに早く知り合いが死んだことに気落ちした波平のために、藻屑が急ごしらえで用意したのである。
こんなこともあろうかと、雪室先生を最初に倉庫に集まった参加者の間に混ぜておいたのが結果的には吉と出た。
「しかし、あまり花沢さんばかりを注視しているわけにもいかんのが残念ですなあ」
「左様、今夜は山場になりそうだ」
波平と藻屑は、磯野家前とがんこ亭内部に設置したカメラの映像へと目を移した。
【七日目 午前零時】
【リカの家】 【花沢花之丞】
状態:健康
装備:支給品一式
武装:毒薬
思考: 基本・ 殺し合いの中で不動産を売りさばいて利益を上げる
1・リカの家を探索
2・中島と岡島を動かす
3・花子の命は最優先で守る
【主催本部】
【磯野波平】
状態:健康
思考:
1・殺し合いの完遂
【磯野藻屑】
状態:健康
思考:
1・波平をサポートする
※主催側の人物です 俺は悪人だ。
いくら泥棒にしては人がいいとか、根は悪い人間じゃないとか言われたって、俺は人の物を盗むことで生計を立てていた以上、何の言い逃れの余地も無く完全な悪人だ。
そんな自分を情けないと思ったことはあっても、後ろめたく思ったことは無かったし後悔だって一度もしなかった。
だがある日、自分を逮捕した警官に言われた一言だけはずっと耳に残った。
「お前は人当たりだっていい。そんな何度も同じ家に入るほどの執念と度胸があれば、まともな仕事にだっていくらでも就けるだろう。なのになんでいつまでもこんなくだらないことをやっている?」
生活のために必ずしも悪事を働く必要は無い。
ならば自分は一体何のために、盗みという悪事を続けるのか。
答えを探していたのかどうかは、自分でも良くわからないが、とにかくまだ答えの出ないうちに思いがけなく命のやり取りなどをする羽目になった。
駅前の店に突っ込んだトラックの後を追って店内に入った俺と警官が見たものは、何もかもが粉々に壊れた店内で向かい合う、一匹の犬とたらこ唇の男と機械のコンビだった。
警官は間髪も入れず言った。
「皆さん、私は警官です。まずは事情を説明してくれませんか? くれぐれも短絡的な行動はしないように!!」
さすがというか、呆れるばかりの公僕魂だ。俺はここまで自分の仕事に誇りを持つことなど、おそらく一生、無いに違いない。
「これはこれは……まともな人が入ってきたと思ったら、案外そうでもなかったな」
口を開いたのは犬だった。
「警官? そんなのが今更この町に何の用だよ。見ての通り、ここは人を殺すことに何の躊躇も無いクズ野郎どもの巣窟さ。あんたの持っている国家権力の権威はなんの意味もないぜ」 「そんなことは判っている!!」
警官はやはり、何のためらいもなくそう言った。
「だが本官は国家の権威などと関係なく、あくまで一警官として職務を全うしたい所存であるのみ!!
本官の前で犯罪行為を行うというのなら、直ちに厳正に対処する!!」
誰もが言葉を失い、警官をいぶかしむような目で見る。呆れているとしてもおかしくはない。俺だって呆れている。
まず動いたのはたらこ唇の男だった。機械を抱えると、警官に向かって走り出す。
それと同時に、鉛筆削りを回すような耳障りな音が聞こえた。
次の瞬間、目を疑った。離れて立っていたはずの警官の右耳が、血しぶきと共に千切れた。
さしもの警官もうめき声を上げて耳を押さえる。俺にもわかった。これがおそらく、あの機械の能力なのだ。
「警官だろうが誰だろうが関係ない。ノリスケ様の仇を討つため、全ての敵は滅ぼさねばならん」
機械の声を聞きながら、俺と犬は互いに目配せした。こんな反則的な技を持っている相手だ、こっちも迂闊には動けない。
機械を持っている男のほうをどうにかできればまだ勝機はあるだろう。俺も犬も、それと悟られないように男たちの死角を狙う。
だが、肝心の警官の取った行動はまたしても予想外のものだった。
警官は右耳から流れ落ちる血をそのままに、血のついた手で腰につけた警棒を抜いた。
そして、
「ここは本官が食い止める!! お前たちは逃げろ!!」
と、またしてもバカなことを抜かしやがった。
今度と言う今度は俺もガマンの限界ってもんだっ 「お巡りさん、いい加減にしてくださいよ!! いっつもいっつもそうやって一人で戦おうとして……」
だがもちろん、是非を議論している暇など無かった。
機械が風の渦を巻き起こす音が再び響き渡る。次の狙いは警棒を握る警官の腕だった。
冗談のような音がして、警官の右腕から大量の血が吹き出る。しかし、警棒を離しはしなかった。
犬と俺は、機械を持つ男の前後からほぼ同時に走り始めた。当然男の目はまず俺に向けられた。
ほとんど間髪も入れず、左の足首に激痛が走る。機械の起こす風の刃の傷みは想像以上だった。
俺は情けのない悲鳴を上げてその場に倒れこむ。だがそのお陰で、犬のほうは男の背後に接近できた。
今度は男の悲鳴が店内に響き渡る。
犬は男の右足に噛み付いて離れなかった。
男は思わず機械を手から落とした。地面の上に無造作に転がる機械に、俺と警官が同時に手を伸ばす。
こいつを無力化できればこの場は勝ったも同然なのだ。
だが、機械に触れる寸前、風の刃によって俺の指は一本ずつ千切れ飛んでいった。
続けて下腹部に走る激痛。右目も抉られた。
「そこまでだ!!」
警官の棍棒が機械の上に振り下ろされようとしたが、その寸前に空中へと弾き返された。
目に見えない旋風は、想像も付かないほどの威力で俺たちの体を切り刻んでいった。
警官は床に叩きつけられるように頭から倒れこんだ。あの様子ではしばらく動けまい。
犬はまだ、たらこ唇の男の足を咥えたまま離さない。そのことだけが、俺たちに僅かな勝機を残していた。
そして俺はこの時確信していた。なぜ俺が今まで盗みを続け、悪人であり続けたのか。
機械の口から巻き起こる旋風は、店内のあらゆるものを容赦なく破壊していく。
その混沌の中、俺は必死の力を振り絞って、床の上に伸びていた。警官の手から血で濡れた警棒を奪い取った。
「お、おい、何のマネだ!!」 息も絶え絶えな警官の声を背中に、俺は機械に向き直る。
チャンスはほんの一瞬しか無いのだ。
そう、機械の起こす風の狙いが、床の上に倒れていた警官から、立ち上がった俺へと移る、その一瞬しか。
俺はとにかく夢中で、警棒を振り下ろした。
手ごたえだけは、あった。
それを自分の目で確認することはできなかった。俺はその時すでに両目を風に潰されていたからだ。
それにもう立ち上がることも、喋ることも出来ないことはわかっていた。
だが、もう風の音は聞こえなかった。
その代わりに、警官が今までとはまるで違う調子の声で叫んでいるのが微かに聞こえた。
「貴様……こんな所で、本官の身代わりになどなったつもりで死ぬなど許さんぞ!!
本官に協力すると言っておきながら途中で放棄するというなら、公務執行妨害で逮捕する!!
それに、いかに本官たちを守る理由があったといえども、貴様のしたことは立派な器物破損だ!!
よって、本官の許可なくこの世を去るなど絶対に許さん!!」
へえ、すいませんねお巡りさん。だけど、今度ばかりは勘弁してくださいよ。
あっしは今、最高に幸せな気分なんですから。今までに働いてきた盗みも、この瞬間のためだと思えば納得できやす。
散々悪事を働きながら、最後は人を庇うといういい事をして死ぬ。
これほどいい気分になれることは、他に無いですよ。 【六日目・午後十一時】
【がんこ亭店内】
【泥棒 死亡確認】
【グルグルダシトール 死亡確認】
【警官】
状態:満身創痍
装備:支給品一式、不明支給品
武装:警棒
思考:基本・あくまでも警官としての職務に従い、住人たちを守る
1・絶望
【ハチ】
状態:健康
装備:支給品一式
武装:不明
思考:基本・自分の家族を守る
1:アナゴを足止めする
【アナゴ】
状態:軽い負傷
装備:支給品一式
武装:不明
思考:基本・マスオ以外は皆殺し
1:この場から逃げる 今日は以上になります
最後に、宣伝になってしまいますが某所で古生物ロワというのを始めました。
興味のある方は是非参加してください。よろしくお願いします。 月報集計お疲れ様です。
波平 51話(+ 2) 26/39 (- 1) 66.7(- 2.5) : 北大村上祐章教授完璧な段取り神奈川県川西市議相模原市. 名前:積極的な心構え
を手にする方法 日付:2010/4/3(土) 14:21. 1.否定的な言葉を口にださない (面倒、
大変、だるい、嫌…など) 2.陰の部分を紙に書き出し、陽な考え方に ...
: 北大村上祐章教授完璧な段取り神奈川県川西市議相模原市. 名前:積極的な心構え
を手にする方法 日付:2010/4/3(土) 14:21. 1.否定的な言葉を口にださない (面倒、
大変、だるい、嫌…など) 2.陰の部分を紙に書き出し、陽な考え方に ... 自由な人生に興味があるなら「立木のボボトイテテレ」についてほんの少し調べればいいと思うの
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