長期デフレの原因は「若年層減による地価の低下」
円安「生産性、輸出」と企業規模の知られざる関係

https://toyokeizai.net/articles/-/265703?page=7
デービッド・アトキンソン
(菅内閣ブレーン・元ゴールドマンサックス)

これからの日本は少子化により需要が構造的に減少しますので、需要に対して供給が過剰になります。対策の1つとして、供給過剰分を単に削減するのではなく、できる限り海外に輸出することが望ましいのです。
(今の日本はGDPの約8割が内需。うち5割が個人消費なので人口減は経済に与える影響が大きい)

その準備には、今すぐとりかかるべきだと思いますが、その前にもう一度、人口減少による需要減少を考える必要があります。

人口が減れば、人間の数に依存する業界では需要が確実に減ります。最も典型的なのが住宅です。日本ではすでに空き家問題が社会問題化していますが、空き家が増えているのは、住む人間が少なくなっているからです。

住む人間の数が減り、構造的に需要が減っているので、たとえどんなに日本銀行がお札を刷って需要を喚起しようとしても、需給は戻りません。需給のバランスが崩壊すると、ますますデフレになりやすくなります。

実はこの問題は、国民の平均年齢と深い関係があります。
銀行からお金を借りて家を買う人は40代までが大多数で、社会が高齢化すると、銀行からお金を借りる人が少なくなることがわかっています。

ですから、人口が減らなくても、高齢化が進むだけで住宅の需要は構造的に減ります。全世界的に、年をとると消費額が減る傾向が確認されています。
高齢化が進むと住宅の需要が特に大きな影響を受けるので、銀行から借り入れをする人が減ります。これも世界中で共通の傾向です。

海外のある研究では、人口増加とインフレには強い相関があることが報告されています。
そして、人口増加が全体物価の上昇をもたらすプロセスで、最も大きな影響を与えるのが「地価」だという結論が発表されています。
(続く)