低成長産業から人手不足の成長産業へと労働者の移動(転職)を促すという建前だが、“転職しやすくなる”と額面通りに受け取るわけにはいかない。それを口実に、「終身雇用」を前提にした日本の制度は「労働移動を阻害する」との理屈で見直しの対象にされている。

 その代表が「退職金」と「企業年金」だ。これらは「後払い賃金」と呼ばれ、同じ会社で長く勤続するほど金額は大きくなり、受け取る時に税制上の優遇措置もある。日本企業の「終身雇用」を支えてきた制度だ。

 しかし、政府税制調査会では、退職金への優遇税制は、「転職をためらう要因にもなりかねない」「人が移動しやすくなる税制にすべきだ」と指摘され、見直しがテーマになっている。

「サラリーマンが転職しやすくするために、退職金への課税を重くする」という本末転倒な理屈だ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/e808b86d1f5cae8b045ef871dbb843bfdb6291ad?page=1