忍SS……5
ヒロインがガサツで可愛くない。自分から色じかけをするようなタイプなので、エロさも弱い。
作者的にはその分コメディ要素を増やして新機軸を狙ったのかも知れないが、こちらも笑えたのは「あえてのガン見」くらい。
体操服を脱がす作戦などは、最初から失敗してエロオチになることが見え見えだし、ヒロインも主人公もナレーションも狂っているので、つっこみの下手な漫才を見ているようなもどかしさを感じた。
ゆらぎ荘のようなエロ特化マンガならヒロインがありえないほど低能だったり展開が強引だったりしても結果がエロければ絶賛されるが、エロさが薄くなれば当然一般作品に近いリアリティや説得力が求められることになる。
18禁の人気作家が一般誌に来た途端凡作しか描けなくなるパターンと似ている。
ゆらぎ荘とあやかしトライアングルで散々こすり倒されたエロ忍者バトルというモチーフもいまさらで新味がない。
一回ゆらぎ荘の手癖を捨てないとダメかも。

天使キス…3
画力が低いのに話もつまらない。
やる気のないひねくれ者が心を入れ替え夢に向かうというストーリーだが、主人公がヒロインに拒絶され涙を見せたところで時間が跳んでしまうので何をどの程度反省したのかよくわからない。単に美大に入学しました、だけでは、部長もいるし、なんとなく進路を変えただけかな、とも思えてしまう。もちろん何の感動もない。
似たようなプロットの例を挙げると、スラムダンクの三井の最初のエピソードで、乱闘騒ぎのさなか三井が安西先生に気づいて涙を浮かべ、そこで時間が跳んで次のコマで翔北バスケ部の練習に混ざっているようなもの。安西先生の前で膝をついて「バスケやりたいです」と告白するシーンが欠けている。
三井がプライドを捨てて見せたように、この主人公も何かを捨てるべきだったと思う。
もう一つ、ヒロインの反応の不自然さも引っかかる。夢に向かって長いあいだ努力してきたヒロインなら、この主人公みたいなやる気のない奴は何百人と見てきたはずだし、そんな奴の言葉を真に受けていたら夢から遠のくだけなのもわかっているはずなので、そもそも対等な人間として話をするのもおかしいし、彼の言葉に傷ついて涙するのもおかしい(程度の低い奴に偉そうにされて怒るというなら分かる)。努力してる人間もしてない人間も対等という主人公の哲学を否定するのが作品の主旨なのだから、ここはもっと冷たく突き放し「対等ではない」ということを態度で見せるべきだったと思う。

マイロボ…6
不幸にもフユノヒとストーリーが似てしまった。プロット、構成、台詞まわしなど作劇はあちらが数段上。
人間に奉仕する目的で作られた忠実なロボットが自己犠牲を選んでもそこまで感動しないよね。
絵柄はこっちのほうが好き。地雷系メイクをマンガにするとこのヒロインみたいになるのかと勝手に感心した。

サドン……7
リアルで独創的な世界観、ユニークなデザインのロボットと迫力のあるアクション、クールなストーリーと、新人とは思えない隙のない出来。
強いて言えば命がけで戦ったわりに主人公の得たものが少なく読後感が寂しい。ロケットで移民する人々の喜ぶ姿でも描かれていたらだいぶ印象が変わったと思う。
どう見ても若造なのに「親父」とは?

チェイン…7
力士さまさま。設定もストーリーもありがちだが、力士のおかげで退屈しなかった。
バトルもカッコよく、すでにトーキョー忍なんとかよりは面白いと思う。
敵が単なる戦闘狂なのはいまいち。ここでもう一工夫あったらアンケートに入れた。

バーカ……5
モンスター育成ゲームのギャグパロディかと思ったら想定外の地獄絵図。
強烈なパワーと先の読めない展開、リアリティのある人物描写など惹かれるところは多いが、こういう話を本誌で読みたいかと言われるとちょっと・・・。
とりあえず絵をどうにかしないとね。

河童幸乞…3
感動物っぽいが感動できるポイントがない。
河童がキモくてこいつを解放したいというミノルに共感できないし、子供の頃の一時の感情ならまだしも大人になって本当に河童を逃がしてしまうのは狂気。これが美少女の天使とかなら話は違ってくるのだが。
外の世界で暮らしたことが一度もないのに檻の中の方がいいという河童にも違和感。
解放された河童がミノルを見つけられるのも都合が良すぎる。