4歳の頃、祖父が死んだ。葬式に出て出官の時に「これからどこにいくの?」と
訊ねた私に「おじいちゃんを焼きに行くんだよ」と父。何の事だかさっぱりわから
ず寝てしまい、気が付くと家に。しばらくして「ご飯よ」と母。
 で、その時のメニューが豚の生姜焼き。急に感極まった父が泣きながら食ってい
るので、その肉を間違いなくおじいちゃんだと思って食べはじめた私。私は祖父が
大好きだったので、泣きながら「おじいちゃんおいしいね」と言うと父はさらに激
しく泣き始めて、母が「おじいちゃんみえるの?」と私に聞くので、目の前にある
肉が祖父だと確信している私は「おじいちゃん目の前にあるよ」と答えると両親は
二人で泣き出し、私も泣き出し、どうしようもないお馬鹿家族状態に。
(豚の生姜焼きは祖父の大好物だった事を知るのは10何年後)
 
 それから肉が我が家の食卓に上がると、私は決まって「だれ?これだれ?」と聞
いたそうだ。そのたび母は「だれじゃないでしょう・・・なに?と聞きなさい」と
小言。本当に恥ずかしい話だが、小学4年位まで肉は全て人肉だと思っていた。な
ぜか給食の肉?(南蛮鯨)はベトナム戦争の犠牲者だと思っていた。だから手を合
わせていただきますと言うのだと思っていた。