[2016年09月21日]
『1974年のサマークリスマス』の著者、柳澤健氏
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1970年代、一部の若者たちを熱狂させた深夜ラジオ、林美雄の『パックインミュージック』。「林パック」と呼ばれたその放送の中で、ユーミン、タモリ、野田秀樹、RCサクセションなど多くの才能が発掘された。

TBSアナウンサーから伝説のパーソナリティーとなった林美雄と、周囲の人間たちが紡ぎあげた物語が一冊の本になり、再び脚光を浴びている。
その『1974年のサマークリスマス 林美雄とパックインミュージックの時代』(集英社)の著者、ノンフィクションライター・柳澤健氏が感じとった熱き青春とは。

―「林パック」はどんな番組だったんでしょうか?

柳澤 林パックは、リスナーの思いを受け止めるということよりも、林さんが自分の心に響いた映画や音楽などを紹介する番組だった。「あなたも興味があったらどうぞ」といった感じで、送られてきたハガキをほぼ読まず、
まだ無名だった荒井由実時代のユーミン(松任谷由実)や石川セリ、低迷状態にあった日本映画などをバンバン紹介した。特に1970年から74年まで金曜2部で放送していた時はスポンサーもいなかったから、聴取率を気にすることなくやりたい放題できたのも大きいね。

でも、TBSからすれば、「そんなの100人にひとりしかウケないよ」「あんな番組、冗談じゃねぇ」っていうふうになるわけ。70年代前半の深夜ラジオは、多くの若者たちにとって
「自分の思いを聞いてもらいたい」というものだった。パーソナリティーがバーチャルな「お兄さん、お姉さん」で、そこで読んでもらえるようなネタを持っていることが自分の存在証明となっていた時代だから。
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