有働 紫式部は清少納言と比較すると、気難しくて頭でっかちだった、というイメージがあります。

大石 中学校くらいで、紫式部は陰に籠っているけれど、清少納言は明るいって習うんですよね。でも今回勉強してみて、この2人では才能が比較にならないと思いました。

有働 と言いますと?

大石 清少納言は言葉選びのセンスがいいけど、内容としては、自分が仕えている中宮と、そのサロンがいかに素敵かというヨイショのエッセイです。
一方、紫式部は「源氏物語」の中で権力批判や文学論、人生観……本人があまり恵まれた人生じゃなかったこともあり、生きることの虚しさなども描いています。
男女の話の間に作者の人生哲学が深く描かれているからこそ世界で評価されるのではないでしょうか。
なので作家としての格が違うんですよね、清少納言とは。



本記事の全文は「文藝春秋 電子版」に掲載されています(「 『光る君へ』でほのぼのとしたエロスを醸し出したい 」)。