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「うちのお師匠さん、出っ歯で話が長くてスケベな人なんだけどたまーにいいこと言うんだ。『人間生きてるだけで丸儲けや。どんな逆境でも笑って生きてたらそれでええ』ってね。」
レイナはいっちゃんの頭を撫でながら話を続けた。
「ほら、いっちゃんの笑顔とっても素敵じゃない?可哀想なんて言ったら失礼だよ。」
崩れるように座り込み、レイナにしがみついて泣きじゃくるユハネ。ホノピもウタノも人目を憚らず大声で泣いた。
「もぅ、このスカート下ろしたてなのにぐしゃぐしゃだよ…」

「"事故"の後、汐里が責任を感じて言ったの『いっちゃんを治すため、ユハネの研究の手助けをしたいから、私を実験台にして』って」
「だから汐里にあんなことを!」
「違う!確かに汐里の申し出は嬉しかった。でも、これ以上友達を巻き込むわけにはいけない。だから私はあえて汐里を突き放して…」
「嘘!ユハネ言ったじゃない。汐里を覚醒させるために実験台になるようにって。」
「ありえない!ウタノ私のことをそんな風に思ってたの?!」
「ふたりとも落ち着いてースマイルー♪」
(もしかして、強い催眠、洗脳、もしくは記憶操作?)
ホノピはレイナに目配せをして、レイナも何かを察して頷いた。

「2人とも落ち着いた?ところで、汐里と鈴との仲直りは?」
「今更言えない…もうめんどくさいのはこりごり。」
「あ、そう。でも手遅れだけどー。ほら。」
ユハネが振り返ると汐里と鈴が入り口に立っていた