>>31
レイナが声のする方を振り返ると、入り口にホノピとウタノが立っていた。
「ホノピ、ウタノ。なんでここに?」
「なんでって、いっちゃんのお見舞いに来たんじゃない。それよりさっきの騒ぎは何?ニシと女の子が泣きながら飛び出して行ったけど、まさかユハネあんたが…」
ウタノの冷たい視線にたじろぐユハネ。
「ウタちゃん、落ち着こうか。ユハネも話せばわかるよね?」
穏やかな笑顔のホノピ。その目は笑っていなかった。
「はい…」
さっきまでの強気なユハネがすっかりとおとなしくなっていた。
「でも、あの話は…みんなに迷惑が…」
「ん?私は大丈夫だよ。ちょっとやそっとじゃ驚かないから。」
「分かりました…では。」
ユハネはこれまでのいきさつを語り出した。
ユハネの父が共同でつぶグミの研究をしていたこと、仲間の1人が裏切ってももの父を殺しつぶグミを奪って逃げ、ユハネの父も失踪したこと。
そしてユハネは残された数粒のつぶグミを元に研究を続けていた。
「そっかあ、ユハネは1人で戦ってたんだね。ありきたりだけど、すごく辛かったんだよね。」
「別に、研究に夢中で家族のことなんか見もしなかった馬鹿なんか。どうでもいいよ。」
「う〜ん、そうかな?本当にユハネのパパが嫌いならつぶグミを見るのも嫌なんでしょ?」
「うん…本当レイナにはかなわないね。どんな隠し事もできないよ。」
「うんうん、素直でよろしい。ユハネにご褒美♪」
レイナはユハネを抱き寄せて赤ん坊をあやすように頭や背中をそっと撫でた。レイナの肩はユハネの涙で濡れ、嗚咽が病室に響いていた。
「ユハネのレアな泣き姿ゲット♪グループラインで共有しちゃおっ♡」
「ちょっ!ウタノ!やめろよー!ホノピさんまでっ!やめてくださいよー…」