政府は6日、安倍晋三元首相の国葬に関する費用のうち、警備費を8億円程度、外国要人の接遇費を6億円程度とする概算額を公表した。
支出を閣議決定した会場設営費約2億5000万円などと合わせた総額は16億6000万円程度となる。政府はこれまで会場費以外に関し「国葬後に精査して示す」としてきたが、国葬を巡る世論や野党の批判に配慮し、一転して事前公表に踏み切った。
与党は岸田文雄首相出席の下、国葬に関する閉会中審査を8日にも開催する方向で調整を急ぐ。
閉会中審査を実施する衆院議院運営委員会の与野党筆頭理事は公表に先立ち協議し、自民党が概算を開示した。総額提示は野党が閉会中審査の前提条件としている。
松野博一官房長官は記者会見で概算を説明。警備費と接遇費は、接遇が必要な海外の首脳級代表団の参列が50程度と見込まれる前提に基づくとした。
概算を一転して公表した対応については「丁寧な説明を尽くす観点から、あえて現時点での経費の見込みをお示しした」と述べた。
一方、立憲民主党の安住淳国対委員長は「約2億5000万円と言い張っていたのが6・6倍にはね上がった」と批判した。
政府は27日の国葬当日の流れも決定。三権の長に加え、菅義偉前首相が友人代表として追悼の辞を読む。自衛隊が儀仗(ぎじょう)や弔砲を実施する。概算には儀仗隊の車両借り上げ費用1000万円程度も盛り込まれた。
政府は8月下旬、会場となる日本武道館(東京)の借り上げや設営の費用として、2022年度予備費から2億4940万円を支出すると閣議決定。
会場周辺の警備費や接遇にかかる費用に関しては、外国要人の参列者数や警備の規模が確定していないとして、事後に公表するとしていた。(共同)