世界保健機関(WHO)は20日、発疹などが現れるウイルス感染症「サル痘」の患者が11カ国で80人前後に上ったと発表した。
他に50人ほどを調査中で、患者はさらに増える見込みだという。さらにオランダでも感染を確認。
患者の大半は過去にサル痘が発生してきたアフリカ西部や中部への渡航歴がなく、WHOは「異例だ」と警戒感を示した。
欧州の患者はほとんどが軽症としている。日本での感染発表はない。
患者の報告は今月上旬から続いている。欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、多くは若い男性で、性交渉で感染が起きているとみられる。
WHO欧州地域事務局は声明で、夏にかけて人が集まるイベントが増えるため「感染拡大が加速する可能性がある」と懸念を表明した。
英政府によると、国内の患者は20日現在で20人。他にベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、カナダ、米国でも確認された。
オーストラリア政府が20日に発表した2人は欧州からの帰国者だった。
サル痘ウイルスはリスなどが保有。人の間で広がりやすくはないが、体液や患部に触れるとうつることがある。
各国は疑わしい症状のある人に受診を呼びかけ、接触者の調査を進めている。(共同)