実に羨ましい暮らしが想像されますが、タワマン住民の間に話を伺うと、なんとも辛い事情を明かしてくれました。

吉山さん(33歳・男性/仮名)。年収450万円、ボーナスはなく、手取りは月30万円程度です。結婚して間もなく、家賃18万円の1DKタワマンに引っ越しました。タワマンと一括りにすれど、その形態は様々。およそ30平米、一人暮らしや2人世帯向けの部屋も珍しくなく、「ステータス」狙いで借りる若年層・資産形成層は多いものです。

吉山さんはまさに「人生で一回は…」と、タワマンの魅力に惹かれた資産形成層のうちの一人でした。

「夫婦ともに、タワマン暮らしが夢だったんです。海を見ながら、2人でお酒を飲めたら最高に楽しいだろうなと。僕の手取りの半分以上が持っていかれますが、妻も扶養を超えない程度に働いていますので、普通に暮らしていけました」



「子どもができたら、住宅ローンを組んで一戸建てを買おうと考えていたんです」

タワマン生活は、夫婦水入らずの「ひとときの幸せ」。そう考えていた吉山さん夫婦でしたが、思わぬ事態に見舞われます。

サービス業だった吉田さん。コロナ感染拡大の影響は避けられず、収入が減少。追い打ちをかけるように奥様のシフトも減り、夫婦ともにステイホームを余儀なくされました。しばらくは耐え忍ぶ日々が続きましたが、さすがに今の贅沢はできないと、タワマン暮らしに終止符を打つことに。

代わりに選んだのは、同じく1LDK、4階建て・家賃8万円の小さなアパート。部屋の大きさはタワマン時代とそこまで変わりませんが、駅までの距離が少し長くなりました。至便性は高い街ですので、日々の暮らしの不便は感じないはずだったのですが……。

吉山さん、「結構生活しんどいです」と語ります。

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