イケメンよりもおじさん狙い カプセルトイ「赤の他人の証明写真」が若者中心に人気
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「イケメンよりもおじさん狙いで来る人が多いです」。SNS上で人気が沸騰し、3月26日に設置されたカプセルトイは、わずか1カ月で約2000個が売れた。売上額は約60万。
1日に約100個売れる日もあるといい、2台しかない自販機はほぼ毎日補充作業が行われる。
「九州から買いに来る人や、コンプリートするために1万円を使う人がいます」。用途は人によってさまざまだといい「若い女性が携帯電話のクリアケースに、おじさんの写真を挟んでいました」と笑った。
見ず知らずの他人の証明写真がなぜ話題を呼んでいるのか。
「この10人はいったい誰なんですか」と寺井さんに聞いた。「小学校の教頭先生や大学生、パートの主婦などで、知り合いばっかりです」とあっさり答えてくれた。
ただ「誰なんだろうと想像する方が面白いですよ」と、個々の情報は教えてくれず、ネタバレは厳禁だった。モデルの選考基準については「物語が見えそうな人」。
実際に就職活動や転職活動に使っていた写真を起用したという。当たりの証明写真には本人直筆の名前が記入されている。 商品化に至った経緯について寺井さんは「マスク生活の中で人の顔を見る機会が減った中、『盛る』『映える』ばかりのSNSにウンザリしていた」と語り、その上で「素顔に近い証明写真は、特有な魅力があると思いました」と続けた。
リアルにこだわり、AIの写真などは構想から外していた。
「攻めた商品」と自負する赤の他人の証明写真は、4月28日から第2弾を売り出し、群馬県高崎市や埼玉県川越市でも展開。
第2弾には自分をモデルに使って欲しいとの売り込みがあったという。
寺井さんの想像を超えた反響について「今の時代は個人情報やコンプライアンスにうるさいし、皆さんの中に鬱屈(うっくつ)としたものがあったんじゃないかな」と分析した。
自販機上部の「コスモス」の文字がレトロな雰囲気を出している。70~80年代にカプセルトイ界で一世を風靡(ふうび)した玩具メーカー「コスモス」。
本社は既に倒産したが、コスモスファンの横島拓也さん(42)が、当時の支店長が独立した会社から業務形態を引き継ぎ、20年に「京葉コスモス」を設立。
証明写真のカットや、商品を詰め替える作業は、横島さんやスタッフなどが協力し、5人ほどで行っている。
横島さんは「コスモスの魂を引き継げて良かった」と笑顔を見せた。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています