(ブルームバーグ): 新型コロナウイルスのオミクロン変異株で、南アフリカの科学者が今月発見した新たな派生型はワクチンや以前の感染で獲得した免疫をすり抜ける能力を持っている可能性が高い。この派生型に関するリポートを発表した遺伝子配列解析チームのトップが語った。

南アのクワズールー・ナタール大学とステレンボッシュ大学の複数の研究所から成るチームのトップを務めるトゥーリオ・デオリベイラ教授は、新たな派生型「BA.4」と「BA.5」は、先に見つかった「BA.2」よりも感染力が強い様子だと説明。「BA.2」も従来のオミクロン株に比べ強い感染力を持つ。

南ア市民のほぼ全員が、ワクチンを接種済みか過去に感染歴がある。それにもかかわらず感染者数が現在増えているのは、これらの派生型が単により強い感染力を持つだけでなく、免疫を突破する能力があるためだと考えられると、デオリベイラ氏は指摘した。

デオリベイラ氏は「この派生型には免疫のすり抜けを可能にする変異」があるとの考えを表明。「この派生型は再感染を引き起こす恐れがあり、一部のワクチンを突破する能力を持つとみている。人口の90%以上が一定の免疫保護を得ていると考えられる南アで、感染が広がるのはそれ以外に説明が付かない」と述べた。

同氏はまたツイッターでの投稿で、現在の南アの新規感染ではこの派生型が約7割を占めると明らかにし、「『BA.4』と『BA.5』で感染件数は増えているが、入院者数と死者数の大規模な発生にはつながっていない。それがこの派生型に関するわれわれの中心シナリオだ」と見方を示した。

原題:

Omicron Sublineages Likely Evade Vaccines, Natural Immunity (2)(抜粋)

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