消費者物価上昇下での賃金停滞は、過去になかった

1970年代のオイルショックの際に、物価が激しく上昇した。この時には、日本企業に活力があったので、賃金を引き上げられた。消費者物価よりも、むしろ賃金の方が早く上昇したほどだ。

今の状況は、その時とはまったく違う。今回は、「物価は上がるのに、賃金は上がらない」という、労働者にとっては最悪の事態になる可能性が強い。

賃金が上がらないと、消費が抑制され、企業の売上が増加せず、賃金がさらに低下する危険もある。こうなると、悪循環に陥る。

日本の政策当局は、原油価格をコントロールすることはできない。しかし、為替レートに影響を与えることはできる。日本銀行が金融緩和政策からの転換を宣言するだけで、かなり大きな効果があるだろう。しかし、日銀は頑として動こうとしない。

だから、これからは、厳しい状況が続くことを覚悟しなければならない。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/93657