田中碧へ

僕は初めて愛理と出会ってからもう6年もの月日が経つんだ
君はまだ1年だろう?
あの頃の僕といえば仕事もプライベートも失敗の連続でさ
残業を終えてくたびれ帰宅する毎日さ
君はいいよね
才能があって海外で活躍して日本を代表する選手でさ
別に君になりたいわけじゃないけどさ
僕は何もかもがうまくいかない日々を送っていたんだ
そして今もそんな毎日さ

そんな日々を送る僕に愛理というGIFTが届いたあの夜を忘れない
深夜に何気なくつけたテレビに愛理は突然現れたんだ
伸びやかな歌声と可憐な笑顔を僕にくれたんだよ
君にはどんな声を聞かせてくれた?
君にはどんな笑顔を見せてくれた?
僕にも教えてくれないか

テレビ番組で愛理を目にしたその瞬間から僕は愛理に恋をした
これが最初で最後の本気の恋だと僕はそう誓った
偽りのない愛をたくさん愛理に届けてきたんだよ
たくさんの思い出を二人で作ってきたんだ
あの日のライブもあの日の個別も僕は忘れない
君がまだ少年だった頃から僕は愛理を見てきたんだ

僕は愛理だけを見てたでも愛理は僕ではない誰かのことも見ていた
それだけのことだ
そしてその相手が君だったんだね
碧なあ碧
愛理をよろしく

なんて強がってはみたけれど
今夜は涙が溢れて止まらないよ
キスをあげるよ
愛理は僕にそう歌ってくれたんだ
覚えていてほしい
まだ信じて待ってもいいのかな
僕はそれすら愛理に聞けない確かめられない
君ならLINEで確かめられるのかな
僕のかわりに聞いてくれないか?

なんておどけてはみたけれど
今夜は涙が溢れて堪らないよ

会いたい
真実を聞きたい
愛理に
でももう愛理は君の女
僕は一人
春の夜風が頬を伝う涙を冷たくなぞる

碧なあ碧
愛理をよろしく

それでも僕は
愛理が好きだから

さよなら