ロシアへの経済制裁でリース会社大ピンチ

 ロシアの航空会社は980機を運航し、そのうち777機がリース機で、さらにそのうちの515機が外国からのリースです。

 ところが2022年2月に突如、雲行きが暗転します。ロシアのプーチン大統領が隣国ウクライナへの侵攻を開始したことにより、
日本、EU、アメリカをはじめとした各国はロシアに対し、調子に乗って厳しい経済制裁を発動しました。

 EUはリース会社に対し、ロシアの航空会社と交わされている現在の契約を3月28日までに解消するよう通達、リース会社はロシアから一斉に機体を引き上げなくてはならなくなりました。 
 しかしながら、ロシア政府は経済制裁に強く反発。3月8日をもって、友好国であるベラルーシを除く全ての国との国際線を閉鎖し、すべての旅客機を国内に留め置く決定を下してしまいました。

 さらに3月10日、ロシア政府はリース契約終了後の返却を禁止し、リース料をロシア・ルーブルで支払う法案の成立を検討中であると明らかにしました。
 この先ルーブルが無価値になることはもはや避けがたい状況であり、子供が「1億万ルーブル」と書いた紙で
毎月のリース費用を支払う行為と何ら変わりませんから、経済制裁への報復とみなしてよいでしょう。 

 3月9日現在においてロシア国内線は運航が続けられており、恐らく接収した機体も今後、ロシア国内線で使用されるのではないかと推測されます。

推定価値1兆円以上にも及ぶ前代未聞の「旅客機の盗難」という事態に直面し、航空業界は大きな岐路に立たされています。