八立神社古御柱祭誌を刊行 諏訪市中金子区
 諏訪大社上社の御柱休めに奉仕する諏訪市中洲中金子区が、御柱休めを含む古御柱祭の歴史をまとめた「八立神社古御柱祭誌」を刊行した。18年にわたる調査で438年間、73回の古御柱祭に携わってきたことを明らかにし、写真と文章で地域の伝統文化を分かりやすく伝えている。

中金子は上社の御柱8本を横たえる御柱休めを担当し、うち本宮の4本を譲り受けて区内の八立神社まで曳行する。新しい御柱を建てるための穴掘りや御柱が建った翌日に根元を固める根固めの儀式も担う。御柱を普通の木に戻す「御柱休めの儀」を含めた一連の作業が、古御柱祭と呼ばれている。

古御柱祭誌は、元信州風樹文庫職員で八立神社委員の岩波弘之さん(70)が資料収集と記事執筆を手掛けた。中金子村が古御柱祭に携わるようになった歴史的な背景を克明に記したほか、438年の間にあった困難を乗り越えた先人たちの「中金子衆の心意気」も記録した。

人力で奉仕する「本来の姿」を伝えようと2010年と16年の古御柱祭の写真を掲載し、古御柱を使った昭和20年代の八立橋の写真や、諏訪大社歴代宮司の書画も紹介した。区長日誌もある。ほとんどが未発表の内容という。

A5判カラー64ページ。諏訪市がんばる地域支援金を活用して1000部発行した。非売品。戸建ての区民をはじめ、市や市教育委員会、小中学校、博物館、信州風樹文庫、諏訪地域の図書館、諏訪大社、茅野市神之原区などに配布する。

山田通寛区長(51)は「中金子だから任されているという誇りと伝統を伝えていきたい」、刊行委員会の藤森茂委員長(73)は「本誌を通じて多くの区民に古御柱祭を知ってもらい、みんなで伝統文化を継承していきたい」と話している。
http://www.nagano-np.co.jp/articles/95584