「鎬が上がる」という現象は、平らな砥石で、ちゃんと小マメに面直しながら研いでいても起きえます。
また、研削力が大きい砥石や硬い砥石(うっかりシノギ側に荷重を偏らせて)でも
研削力が小さい軟らかい砥石(刃金にたいする研削力が不十分で地金ばかりが減って)でも起きます。

中砥でベタ研ぎしている最中に「鎬が上がって」しまった場合
(マンガの 25度 → 17度 のような極端なパターンでなくても)
中砥 → 中仕上砥 → 仕上砥 → 超仕上砥 と研ぎすすめていっても
中仕上砥以降、ベタ研ぎでで平らな砥石にあたるのはミドリ色でしめした部分だけになり
いくら目の細かい仕上砥、超仕上砥で研いでも
ピンク色でしめした刃先部分の研ぎ目は細かく仕上がらなくなります。
仕上砥や超仕上砥でピカピカに上げたあとで、刃先付近がうっすら曇っていたり
刃境付近よりも刃付近のキズ目が目立つ場合は、これと同じような状態になっていて
仕上砥や超仕上砥が刃先まであたっていなかったであろうことが分かります。

上のマンガの状態になってしまってから
「刃先の角度は片側25度で、まっ平らな切り刃(または小刃)」に直すには
水色の線でしめしたところまで研ぎ減らさなければならず
刃こぼれを修正するのと同じぐらいの労力を要します。

洋包丁の小刃の幅が広がっちゃっただけならリカバリーも難しくはありませんが
和包丁の「鎬が上がって」切り刃の幅が広がってしまった場合、リカバリーするのは困難で
…現実的には、次回以降ミドリの部分は研がずに刃先を片側25度の段刃にして
回を重ねるごとに25度の段刃の幅を広げていくか
ピンクの頂点と水色の頂点との中間をねらって(片側25度未満で)研ぐことになるとおもいます。 :(

ちなみに、上のマンガの状態から、刃先とシノギを減らさずに切り刃の凸面だけを削って平らにしたとしても
刃先の角度は18〜19度にしかなりません。