山梨県の不動産業兼貸金業「柏木商事」の柏木昭男社長は1937年、富士吉田市の生まれ。地元では一代で財をなした立志伝中の人物として知られている。宮大工を父に持ち、中学卒業後は農業を手伝いながら富士山の強力(ごうりき)で身を立てていく。
隣の河口湖町に移ると、60年頃には親類と不動産業、続けて貸金業も始め、69年に「柏木商事」を設立。自身は土地500坪、床面積200坪で時価50億円といわれる総ケヤキ造りの「柏木御殿」に住んでいた。

が、大勝負から2年後の92年1月3日夜、その御殿の20畳ほどの台所で、社長は顔や首など約20カ所をメッタ刺しにされた状態で発見されたのだった。