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内藤湖南 1922
 曹魏から始まる魏晋南北朝の貴族制の時代
川勝義雄 1950
 後漢末期の清流派を母体とする曹操政権の文人官僚が源流となった魏晋貴族制
川勝義雄 1954
 曹操軍団の任侠的・私的結合関係と西欧中世の私的結合関係の類似性
五井直弘 1956
 曹操政権に占める故吏出身者の多さから導き出される、秦漢統一帝国と同質の家父長的・私的隷属支配関係と貴族制時代論の否定
好並隆司 1957
 故吏関係は功利化・形骸化しており、故吏出身者の多さは曹操の勢力拡大過程のせいだとする五井への批判
中国:郭沫若 1959
 曹操の再評価
増渕龍夫 1960
 内在的に儒教的価値基準で自己を律する逸民的人士による自己撞着した清流派への批判の重要性
中国:三聯書店 1960
 「曹操論集」の刊行
中国:万縄楠 1964
 曹操の地縁・血縁「?沛集団」と世族地主集団「汝潁集団」の権力抗争
川勝義雄 1967
 逸民的人士は清流派の外延であり、濁流豪族の領主化傾向とそれに対する党錮の禁から黄巾の乱に及ぶレジスタンス活動
吉川忠夫 1967
 六朝貴族制社会は逸民的人士でも党人でもなく、権道派こそが源流
堀敏一 1968
 後漢末期の宦官政治に抵抗した清流豪族・党人が貴族制の源流
中国:好並 1970
 曹操は農民の敵か味方かという階級論争の論点整理
多田狷介 1970
 治者である清流人士と被治者である黄巾の間にレジスタンス運動などないとする川勝への疑義
川勝義雄・谷川道雄 1970
 領主化傾向と大土地所有否定の自己矛盾的な清流豪族による豪族共同体論
重田徳 1971
 共同体論への批判
多田狷介 1971
 共同体論争
谷川道雄 1976
 豪族共同体は、階級を内包する共同体概念と異なる、階級を超える中国の形成主体と位置づけ
矢野主税 1976
 川勝の全国的士大夫集団の形成の否定と、曹操政権に密着しえた者が貴族となり高官世襲と在地性を喪失し、国家の俸給に依存する寄生官僚化
中国:唐長孺 1981
 荀彧による汝南・潁川の名士の推挙、袁紹滅亡後の崔?による冀州名士の推挙、劉表滅亡後の韓嵩による荊州名士の推挙という段階的拡大による序列化・系列化
中村圭爾 1982
 貴族の存立基盤を「民の望」に求める川勝説に対し、「郷論」が現実の郷里社会の「民の望」から乖離しているという指摘
渡邉義浩 1991
 三国政権に「名士」を必要とした理由は、一般民衆の「民の望」ではなく、仲間社会内での名声をもつ「名士」であり、仲間社会への参入を希望する豪族の名士に対する支持
堀敏一 1996
 曹操政権に仕えた「名士」が権力に接触して変容し、地方名士から王朝貴族に変貌