>>46

続きを書くぜ

それまで約1年間
海外の某都市に単身赴任中だった
その女性より10歳年上の旦那さんが
近日中に帰国し
下半期からは日本での勤務となることが
決まったって言ったんだぜ

その女性とそれまでにいろいろな話をし
未来まで語り合って
ずっと独身だと思い込んでいたんだがよ

築2年の大きな家はな
その女性と旦那さんのマイホームだった
って訳だ

旦那さんは赴任先で
非常に忙しくしていたのと
現地の治安が悪かったってこともあり
その女性は訪問することすら許されず
1年近く旦那さんには
会っていなかったんだってよ

そんでな
その女性は時間を持て余し
アメリカにホームステイに
行ったんだってよ

その女性の手元に届けたアルバムも
もう家に置いておくことができない
ってことで
俺が持ち帰ることになったぜ

現実を受け入れることが
難しかった俺は
試験期間終了後の日曜日に
最後のデートに付き合ってくれって
その女性に最後のお願いをしてな

今はなくなってしまった向ヶ丘遊園で
出会った頃のような距離感のある
デートをして
自分の気持ちを整理したんだがよ
別れの辛さに耐えかねてな
その女性もとうとう泣き出してしまったぜ

その日、向ヶ丘遊園では
俺たちの別れを慰めるかのように
あの『メロディ(Melody)』が流れていたぜ