そんなマスカラスだが、ある試合後に原さんへ激怒したことがあった。それは、1983年の「世界最強タッグ」だった。マスカラスは弟のドスカラスとのコンビで出場。12月5日、福岡国際センターでスタン・ハンセン、ブルーザー・ブロディの「ミラクルパワーコンビ」と対決した。

 試合は、マスカラスの技をハンセン、特にブロディがまったく受けることなくかみ合わない展開に終始した。結果はブロディがドスカラスをフォールし敗れた。

 マスカラスが怒ったのは試合後だった。控室で馬場に抗議すると、その席に原さんも呼び出されたという。

 「とにかく怒っていました。何を言っているのか聞き取れないぐらい、一方的にまくし立てていました。私はとにかく彼の怒りを聞いてあげるしかないと思って、黙って聞いていました」

 恐らくハンセンとブロディが技を受けなかったことで「仮面貴族」と呼ばれるほど自らが培ってきたプライドと存在感が消されたと思ったのだろう。あれほどのマスカラスの怒りは、後にも先にもこの時だけだった。
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