長野市の自動車販売業「デュナミス・レーシング」と新車の購入契約をし、代金を支払ったのに納車されない―との相談が相次ぎ、県警が詐欺容疑で捜査している事件で、県警が週内にも60代の男性経営者を聴取する意向を固めたことが25日、捜査関係者への取材で分かった。同社を巡っては、これまでに同様の相談が県警に数十件寄せられている。

信濃毎日新聞の取材では、代金を先払いしたのに納車されていない被害者の中には、2020年1月の購入契約までさかのぼる男性もいる。
被害者によると、男性経営者は新型コロナ感染拡大を理由に納車を先延ばしし、実際にはディーラーに発注すらしていなかったという。

経営者は現在、連絡が取れなくなっており、契約した客から憤りの声が上がっていた。
県警は今年2月、詐欺の疑いで同市丹波島2の店舗兼工場を家宅捜索。押収資料などから経営実態を調べていた。

同社を巡っては、軽乗用車の購入契約を解約したのに先払いした代金が返金されないとして別の長野市の男性が同社に150万円の返還などを求める訴訟を起こし、5月に長野地裁が訴えを認めた。

8月には国土交通省北陸信越運輸局(新潟市)が道路運送車両法違反があったとして、同社を20日間の事業停止とする行政処分を出した。