大学受験で女子のチャレンジを妨害する「ジェンダー・プレッシャー」
難関大学では、受験者数の段階で女子の比率が低くなっている
(2021年 newsweek)
舞田敏彦 (社会教育学者)

東京大学は、新執行部の半数以上を女性にする方針を掲げている
意思決定に多様な視点を取り入れると同時に、女子学生を増やすこともねらいだ

全国の大学生の女子比率は45.5%で、男女の偏りはほとんどない(2020年『学校基本調査』)
日本の大学は伝統や威信に依拠して階層化されていて、女子学生の比率も階層ごとに異なっている

@最難関の東京大学、A旧帝大 (北大・東北大・東大・名大・京大・阪大・九大)、B国立大学、C大学全体という4つの群を設定し、それぞれの女子学生比率を出してみた
選抜度上がるにつれ、学生の女子比率は下がってくる
大学全体では45.5%、国立大学は36.8%、旧帝大は27.7%、東大は19.4%だ

では、学生のジェンダー・アンバランスは、入試での合格率の性差なのか、それとも女子の受験生そのものが少ないのか
受験者と合格者の性別人数を見てみる

東京大学は前者は非公表だが、京都大学は両方が得られる
2020年度の学部一般入試の「合格者数/受験者数」を男女別に示すと

・男子=2147人/5656人=38.0%
・女子=578人/1691人=34.2%

合格率は男子の方が4ポイントほど高いが、大きな差ではない
分母の受験者数を見ると、男子は5656人、女子は1691人で受験の時点で男女の人数に大きな差が出ている
女子は男子に比べて、難関大学に挑戦する生徒が少ない
事前に「自己選抜」していると見られる

能力分布に性差はなく、女子は自身の才能を十全に開花するチャンスを奪われている
心ないジェンダー・プレッシャーは厳に慎まなければならない

(追記)
東京大学は、令和9年度までに女性の教授141名と准教授165名、合わせておよそ300人を新たに採用する計画を発表
教員などの多様性を高めようと令和9年度までに教員全体に占める女性の比率を25%以上とする目標を掲げている