日本経済再生への道−生産性の改善には何が必要なのか (RIETI)
https://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/21020401.html

GDPというのは、簡単にいえば「人間の数×生産性」です。
今までの50年間、先進国の経済成長率は平均して3.6%でしたが、その中で人口増加成長要因は半分の1.8%、生産性向上が残りの1.8%でした。
企業コンサル大手のマッキンゼーの分析によると、今後の50年間では先進国の人口増加要因は0.6%まで下がると見込まれているため、今後の経済成長には生産性がますます重要になってきます。

日本の経済成長を考えたときにも同じことがいえます。日本は現在、世界第3位の経済大国といわれていますが、それは主に「人口の多さ」が寄与しています。
先進国の中で人口のランキングをみると1位の米国が3億4,000万人、次ぐ日本は1億2,600万人ですが、生産性をみると米国9位、日本は28位です。
先進国のGDP総額ランキングは人口が最大の決定要因になっているので、人口増加による成長要因が見込めない中でGDPを維持もしくは成長させていくためには、生産性を上げていくしか方法がありません。
国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来総計人口」を基に作成した2015年から2060年までの生産年齢人口の予想をみてみると、2015年には約7,700万人いる生産年齢人口(15〜64歳)が2060年には42.5%減の約4,400万人にまで落ち込みます。
GDPを現状維持の550兆円としたとき、2020年では生産年齢人口1人あたり約760万円になり、計算上では2060年には1.7倍の約1,260万円まで上がっていかないと、日本経済は落ち込んでいくことになります。(円安の影響は含まず)

購買力調整済みの数字でみた日本の生産性ランキングは、1990年をピークに下がってきましたが、その低迷の主な要因を考えていく必要があります。
IMFがG7加盟国で行った分析をみると、実質経済成長率の平均が2.1%の中で、日本は一番低い1.3%に留まり、一番高い米国の3%や、英国の2.9%に比べて著しく少ないといえます。
その内訳を人的資本、物的資本、全要素生産性に分けてみていくと、G7加盟国の人的資本の平均伸び率0.5%に対して、労働参加率が上がっている日本は0.4%と、その差はわずか0.1ポイントです。また、物的資本をみても平均伸び率0.9%に対して日本は0.8%と、こちらも0.1ポイント差です。