「テレビ局は守ってくれない…」コンプラと闘う『不適切にもほどがある!』を元テレ東Pはどう見たか?


ラーメン屋のシーンで美術さんが「うちのラーメンは化学調味料無添加です!」という貼り紙をして撮影をおこなったところ、
それを知った局内の営業担当からクレームが入った。

テレビ局の大スポンサーのひとつのある企業は、現在「化学調味料」という言葉の撲滅をはかっている。
そのスポンサーの主力商品ができた当時と違って、いまは「化学」という言葉にネガティブなイメージがあると考えているからである。

 そんなときに番組内であえてその言葉を使うとは何たることかという「お𠮟り」を受けたのだ。
それを言い出したのはそのスポンサーでも何でもなかった。局内の営業担当だ。それはなぜか。

テレビ局がスポンサーに忖度をしたのである。

その企業はそのドラマの提供スポンサーでも何でもない。しかし、テレビ局全体として気を遣ったのだ。
百歩譲って、もしそのドラマのスポンサーがその企業であるならば、資金提供者への配慮としてそういったこともあり得るかもしれない。
しかし、テレビ局全体の大スポンサーであるからといってそのような忖度をすること、しかも現場にそれを強いることが果たして正しいのだろうか。

さらには、中立な立場を保ち公平性を持って番組制作をおこなうテレビ局としてそれが健全な姿だと言えるのだろうか。
私は強い危惧の念を抱いた。もっとも問題なのは、今回の出来事に対する措置である。
結局、編集段階でそのラーメン屋のシーンの貼り紙にはモザイク処理をおこない文字を消すことになった。そして担当者は厳重注意を受けたのだ。

化学調味料という言葉は、現在でも味つけ海苔などをはじめとして多くの食品のパッケージや添加物表示に使われている。

だが、このラーメン屋のシーンの一件以来、局の営業の方針は化学調味料のみならず「うま味調味料という言葉もなるべく使用しないように」となった。
ほとんど営業担当者もわけがわからなくなっているのではないかと思えてくる。
こうなると「言葉狩り」以外の何ものでもなくなり、怒りを通り越してそのばかばかしさに笑えてくる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/73b7cb61b100fec24b91761cf0f219013178cbed