阪神ファンが異常に熱狂をする理由…欧州の論文で解説「ある状況下でファンは『負け犬を応援』傾向」幼少期に原因、”弱いほど忠誠心”(みんかぶマガジン)
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 そんな弱いチームをなぜ応援するのか、不思議でしょうがない人もいるだろう。かつて、巨人が強いというただそれだけの理由で、巨人ファンという人も多かったと聞く。チーム成績が弱ければ観客動員が落ちる球団がある一方で、弱くても、いや、弱ければ弱いほどに熱狂して応援するファンというものは存在している。その数が、抜群に多いのが阪神ファンであろう。この一見不可解な「チームへの忠誠心」を分析した研究論文がある。現在は西イングランド大学ブリストル校教授のアラン・タップ氏が2000年代に出した論文で、サッカーやメジャーリーグのサポーターやファンについての調査だが、そのまま日本の阪神ファンにも当てはめられるので紹介したい(2003年『The loyalty of football fans― We’ll support you evermore?』)。

 しかし、セ・リーグでもトップクラスの観客動員数を誇る阪神は、勝っても負けても多少の増減はあるものの、お客さんが入っている。こうした「例外」は海外でも稀に起こるようで、論文では「シカゴ・カブス」のファンが、阪神のように負けても球場へ足を運ぶとして研究の対象となっている。
 それは『負け犬(アンダードッグ)理論』と呼ばれるものだ。

■ファンが「負け犬」を応援する心理
 「ある状況下では、ファンは『負け犬を応援する』傾向がある」のだという。つまり、不成功に終わったクラブ(優勝を逃す、下位低迷)のファンの一部は、「チームの成績」に対する期待値を下げる傾向にある。むしろ、チームの成績が悪ければ悪いほど、彼らは互いに、そしてチームとの絆を深めていくことが発見されている。(調査当時成績が低迷を続けていた)シカゴ・カブスのファンは、”ダメ人間 “のチームを応援することで、「部外者にはよくわからない特別な何かに属していると感じていた」と調査に話している回答があったのだという。そして、忠誠心の低いカジュアルなファンに比べて、熱狂的なシカゴ・カブス・ファンは、子供時代にシカゴ・カブスの野球の試合を観戦したり、聴いたりしたと報告する数が多いことがわかっている。

■自発的に苦しめば苦しむほど、集団や目的を肯定的に評価
 ある集団に参加するため(あるいはある目的を達成するため)に、人が自発的に苦しめば苦しむほど、その人は、その集団や目的をより肯定的に評価するようになる。まるで、社員を洗脳するどこぞのブラック企業のような有様だが、阪神ファンは「自発的に苦しむ」のであるから、もはや止めることはできないのかもしれない。
 これらのクラブとの長い関係を非常に誇りに思っている「熱狂的な」回答者の中に、「子供時代」に原因があったという証拠が多くの研究で示されているのだという。
 反対に、よりカジュアルなファン(そこまで熱狂していないファン)は、大人になってから、そのチームの地元へ引っ越してきたことが多いこともわかっている。