◆来日後すぐ「2年間転職しない」誓約書にサイン迫られる

「日本人と交流がなく、サポートも受けられない」。先月中旬、特定技能1号「外食業」の資格で来日した20代ミャンマー人女性のイーさん(仮名)は、日本での暮らしに不安があると打ち明ける。
ミャンマーでは大学で日本語を専攻していたが、4年生で卒業間近の2021年2月、軍事クーデターが起きた。
「母国に未来を感じられなくなった」と言うイーさん。日本で働こうと、同じように外食業の資格を得たミャンマー人女性2人と一緒に来日した。

ただ、イーさんら3人は来日後すぐ、雇用先が委託した登録支援機関から思わぬ要求を受けた。「『2年間転職しない』という誓約書にサインして」と迫られたのだ。
登録支援機関の説明では、昨年来日した別のミャンマー人が数カ月で勤務先を辞めたので、3人が早期離職するのを防ぐためとされた。

イーさんは来日前、雇用契約は1年ごとに更新すると聞いており、戸惑った。一緒に来日した20代のユーさん(仮名)も「私たちが理解できる説明はなく、不安になった」と話す。
イーさんらは在日ビルマ市民労働組合のミンスイ会長(62)に相談の上、登録支援機関と交渉。
「2年間」の誓約書には署名せず、西日本の介護施設で調理の仕事に就いたが、「今の雇用主は信用できない。半年ぐらいしたら他の仕事を探したい」と口をそろえる。

日本人と比べ、待遇に差があるとの声もある。
特定技能1号「介護」の資格で2月に来日した20代ミャンマー人女性エイさん(仮名)は「日本に期待してきたが、会社や登録支援機関は優しくない。涙が出そうだ」と嘆く。クーデター後、ミャンマーの経済は混乱し、治安も悪化したため来日。来日費用は親戚から約40万円相当の借金をしてまかなった。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/264168