――5年間の中で一番大変だったことは。

1年半くらい前に「あと一歩抜け出さなきゃダメだな」と大きな壁にぶつかったことです。
ある程度経験を積んで、自分なりにノウハウが蓄積されてきた中で、ここで1つ殻を破らないと、もう女優としてこれ以上はないなと気付きました。
その時期は本当にしんどかったです。ありがたいことにお仕事はいただけていたのですが、「今のお芝居で良かったのかな」と自分の中で迷いが生まれたり、
最初は映画に出演させていただくことが多かったので、ドラマの現場のスピードについていけなかったり、参加したかった作品のオーディションに落ちたりと悩みが重なって。
いろんなことがうまくいかなくて、ダメだなって精神的に参っていました。

――そんなつらい時期があったんですね。その状況を変えてくれたのは何だったんでしょうか。

先ほどもお話に出た『ロマンス暴風域』です。そのときの私は少し自暴自棄になっていたかもしれませんが……。
センシティブな要素も多い作品に思い切り体当たりしに来た私を、皆さんが上手にコントロールして、いいところを吸い上げてくれました。
全5話で短かったですし、私の出演シーンもその半分くらいでしたが、大きな反響をいただけて、たくさんの方にせりかという役を印象づけることができて、
あのタイミングだったからこそだと思います。私にとって大きなターニングポイントになりました。
その経験から、自分が作ってきた枠からはみ出すお芝居が怖くなくなって、1つ前に進めたというか、一気に息が吸いやすくなったんです。

――『ロマンス暴風域』はとても大きな経験だったんですね。先程話に出ましたが、工藤さんは今でもオーディションを受けられたりするんですか。

受けています。テレビや映画の映像を中心に、長く女優を続けている先輩についていけるよう頑張りたいと……。

――その代表格といえば真野恵里菜さんでしょうか。

正にそうです! 誰に何を言われたわけでもなく自分が勝手に思っているだけなんですけど、真野さんが海外で生活されている今、私ももっと頑張らなきゃいけないな、と。
真野さんが私のことをずっと気にして、声をかけ続けてくださる分、結果を残したいですし、この先私を見て役者を目指したいと思ってくれる後輩たちがいてくれたらうれしい。
そんな気持ちが女優業の原動力になっている気がします。

――真野さんはどんな声をかけてくれるんですか。

海外で生活していて時差もあるのに、作品をチェックしてくださって、少し後になっても「あの作品、良かったよ」と言ってくださるんです。
経験者だからこそできるアドバイスをいつもくださって、本当に感謝しています。日本に一時帰国されたときにも、会ってお芝居の話をしたり、
プライベートな話をしたり、ずっと気にかけてくださっている先輩なので、とにかく結果で恩返したいです。本当に、私が勝手にそう思っているだけなんですけどね。
https://news.mynavi.jp/article/20230715-kudoharuka/