新機動戦記MSモーニング小隊―プラチナの星―
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
突如出現した共鳴者(リゾナンター)の存在はアースノイドとスペースノイドに大きな衝撃をあたえた。
リゾナンターは地球とコロニーどちらから生まれたのか。
その権利と主張をめぐる争いは次第に大きくなっていった。
そうして、地球の治安を維持する地球連邦政府と、スペースコロニー連合体の治安維持を行なう宇宙連邦政府の睨み合いはついに過渡期をむかた。
冷戦は終わり、劫火の遍く争いが世界中に飛び火していったのだった。 炸裂音と火薬のにおいで高橋愛はベッドから飛び起きた。
室内には伝令が流れていた。
『奇襲! 奇襲! 敵は宇宙連邦ダークネス! MSパイロットは早急にデッキへ! 繰り返す!』
高橋は一瞬、頭が真っ白になった。ついにこの日がきてしまったのかと――
「愛ちゃん! 何やってるの」
そう声を荒げて部屋に入ってきたのは同期で同僚の新垣里沙だった。
「ガキさん――。本当に始まったの――?」
「そうだよ。そのために私達は訓練してきたんじゃないのっ。はやく! ジムの準備は出来てる出撃しなきゃ!」
これに高橋は神妙な面持で頷くと立ち上がりカタパルトデッキへ新垣と共に向かった。 爆轟で窓のガラスが吹き飛んだ。隣を見ると昨日まで一緒だったMS訓練生の友人がバラバラになって床に転がってた。
亀井絵里は彼女の体を拾い集め、ベッドに寝かせてからやっと涙を流した。
自分がこうなっていたほうがよかったと。
自分よりも彼女のほうが遥かに優秀なパイロット候補生だ。何故出来損ないの自分なんかが助かってしまったのだろう。
室内に流れる伝令を聞きながら亀井は部屋の隅で自分の体を抱き、じっと、この地獄が終わるのを待った。 「きゃあ!」
と、道重さゆみは叫んだ。
それは朝の日課であるダンゴ虫の散歩をしていた時のことである。
空から茶色い、う〇こみたいな色をした塊が突然降ってきたのだ。
それが地面に着地した瞬間、身体が浮くほど大地が戦慄いだ。
だから彼女は叫んだのだ。
自分に落ち着けと言い聞かせ、道重は空から落ちてきたそれに目をやった。人に似た形をしている。
モビルスーツだということはただのニートである彼女にもすぐに分かった。
この辺りにも地球連邦のMS軍事基地がある。MSじたいは何度も目にしている。
ただ、いま目の間に降り立ったそれは初めて見るタイプのMSだった。カラーリングから形状から何もかもが自分の知るMSとは違う。
どこか邪悪で見る者を威圧するような雰囲気を漂わせている。
凄く嫌な予感がする……なんだろうこのザラついた感じ……
道重がそう思った時だった。その見知らぬMSが手に持ったライフルを構えたのだ。
銃口の向きは地球連邦MS軍事基地『ハロープロジェクト』を向いていた。 落ちてきた瓦礫を躱す。砂埃が髪にかかる。田中れいなは舌打ちをしてそれを払った。
それから閃光の見えた先を向いて彼女は眉を顰めた。
確か軍事基地のある――
そう思っていると助けを求める声が聞こえた。音というよりは“声”だった。呼ばれるままに行ってみると男性が瓦礫に埋もれて倒れていた。
「大丈夫ったい?」
「ん……助けてくれ……早く、ハロに行かなきゃならねえ」
ハロという言葉に田中は閃光の見えた方角を一瞥した。
そこがまさに地球連邦MS軍事基地『ハロープロジェクト』通称『ハロ』だったからだ。
「多分、行ってももう何も無いっちゃない」
そういいながら田中は瓦礫をどかし、男性を引きずり出した。
男は感謝をのべると「みんな戦ってるはずだ」と言って大きく頭をふった。
「戦う、ねえ」
厄介なことに巻き込まれそうだ――と、彼女は思った。
「じゃあとりあえず乗ってく? お金とるっちゃけど」
田中は積み荷おろしのバイトで使う民間用工作車を親指で指した。
「まじで、助かる。俺がいなきゃMSの整備は半分も終わらねえから」
「お兄さんハロの整備士?」
「ああ、俺は岡見五郎ってんだ。君は?」
「れいな、田中れいな」
「れいなちゃんね。よっしゃハロまで頼むぜ」 黄色を基調としたジム3のコックピットから、高橋は敵を見定めた。
初めて見るMSだ。地球のものではない……やはり宇宙連邦―ー強硬派……ダークネスか。
高橋のジム3がビームライフルを放つ。閃光が一直線に敵の胸を貫く。
ビームコーティングはされているが装甲は硬くない。
通信で、ジムキャノンに乗る新垣にこの情報を伝える。
「愛ちゃんもう一機やったの!? さすがエース候補!」
「いや、ガキさんそれよりも気を付けてね。相手、どんな攻撃をしてくるかわからないから」
「任せなさいよ。ちゃちゃっとかたずけちゃって早く民間人の救助に向かおう」
通信が切れ、高橋は改めて敵機を向いた。向こうもこちらを向いた。
くる――
高橋は盾を構えて相手のビームを受け止めた。それから間髪入れずに盾を離し、敵に向かって走ると、腰部のビームサーベルを抜いて両腕を切断。そこから振り上げたサーベルで袈裟懸けに肩部から腹部までを切り裂いた。
ここはこれで最後か――
「ガキさんは大丈夫かな」 高橋からの通信を切り新垣は持ち場の守護につとめた。
メンテナンスデッキのあるここをやられるわけにはいかない。
そう思いながらも彼女の乗るジムキャノンは膝をついた。
相手は二機、こちらはもう自分だけだ――改めて高橋愛の凄さを実感する。
エース候補……いやあの子はすでにエースだ。なんたって共鳴者(リゾナンター)なんだから。ただのMSパイロットの自分とは出来が違う。ああ、こんなところ死ぬのか。
新垣が操作レバーから手を離した。その時――
『き、聞こえますか……誰か……聞いてませんか』
そう、突然新垣の通信網に入ってきた声があった。初めて聴く声だった。愛ちゃんじゃないのは間違いない――
「聞こえてる。あんたは」
「絵里……亀井絵里、パイロット候補生です……!」
新垣の乗るジムキャノンの脇を縫って、一体のジムが敵機へ真っ直ぐ走り込んでいった。
新垣はそれを見て思わず笑った。候補生にしても戦い方が下手過ぎる。でもまあ、元気はでたよ。
「よし、絵里! 左にまわれ! あたしは右から――挟み撃ちにするよ!」 掌にダンゴ虫を乗せて道重さゆみは走っていた。
何故かはわからないがとにかく基地へ行かなければいけない気がしたからだ。
しかし、長年のニート生活により弱った彼女の足腰はすでに限界をむかえようとしていた。
「だめえ……もう走れない……やだやだ」
座り込みダンゴ虫を眺める。家族と離れて以来“彼”だけが話し相手だ。みんなは“彼”の声が聞こえないらしい。自分にははっきりと聞こえるのに。
「ねえ、どうしたらいいかな? うん、さゆみは今日も可愛いよね。じゃあやっぱり基地まで行かなきゃだよね。でもね、もう歩けないの」
ダンゴ虫と話し終え彼女は溜息をついた。
その時ふと、エンジン音が聴こえた。近づいてくる。
音の方を向くと業務用の工作車が物凄い速度でこちらに向かってくるところだった。運転席には猫みたいな顔の柄の悪い少女。助手席には岩みたいな顔をした男性が乗っている。
道重はすくっと立ち上がった。
「おーい! 乗せて! 乗せて! さゆみも乗せて!」
声を上げると工作車はけたたましいブレーキ音を上げて目の前でぴたりと止まった。
「なん? 乗りたいと」
運転席の少女が首を傾げている。近くで見ると可愛い、と道重は思った。でも自分の方が可愛いとも――
「基地まで乗せて欲しいんだけど」
「おいおい嬢ちゃんマジか? 俺達も向かってるところだけどよ、あそこは今戦地になってると思うぜ」
「え? 戦地に向かわせようとしとうと?」
「あ、いや――」
男が口ごもる。
「冗談ったい。そのかわり事が済んだらたんまりお金は貰うと。あんたも乗るならお金払うと」
「えぇ、さゆみお金ない」
「んじゃ無理っちゃん。諦め――」
猫顔の少女は言葉を切り、それから道重へ「はやく乗れ」と急かす。
道重はよくわからずに、とりあえずラッキーと思いながら後部座席へ乗った。
その瞬間、直ぐ近くの地面が弾けた。稲妻のような爆音が三人の耳をつんざいた。
「やべえぞれいなちゃん! なんか狙われてるって!」
「わかっとう。一発二発撃たれたくらいで騒ぐな」
「え、まってまって、今撃たれたの!? 早く逃げようはや――」
走る工作車の側面と正面にMSが三機いるのを見て道重は思わず固唾を飲んだ。
車が走る軌跡を追うように地面が弾け飛ぶ。
「糞がっ! あいつら楽しんでやがるな」
「こっちは全然たのしくないよぉー! ねえ早くどこかに避難しなきゃ!」
道重は猫顔の少女に訴えた。しかし――
「あいつら調子にのっとう。くらさな気がすまん」
そう言って田中れいなはMSの一体に向かってハンドルを切った。
「いやいやいやいや! 無理無理無理だってれいなちゃん武器もないのに!」
「武器ならあると」
田中がそう言ってハンドル横のレバーを動かすと車体の側面から折り畳み式のアームが生えた。
「いや、それ武器じゃない武器じゃない! 荷物運ぶのに使うやつ!」
「えーもうやだおろしてえー!」
岡見と道重が絶叫するなか田中は猛悪な笑みを浮べMSの股下に車を滑り込ませる。
MSが車を踏みつぶそうと足を上げた。
田中は急速にハンドルを切ってMSの軸足へ突撃する。そしてマニピュレーターを操り足部のつなぎ目に差し込んだ。
ボンッ、とMSの軸足内で爆発音がしてMSがバランスを崩した。同時に車のマニピュレーターも弾け飛ぶ。
田中はハンドルをきって倒れてきたMSの体を躱す。残りの2機がマシンガンを撃ってきた。
田中はそれも完璧に躱しきる。
「ま、まじかよれいなちゃん――」
「ホントに、れいな? っていうの? あなたおかしいよ」
「それ褒めようと?」
岡見と道重が頷く。
「そうったい。じゃあまあ、あと残り2体っちゃね」
「え!? ちょっとれいなちゃんまだやるの!?」
「もういいよ早く逃げようよ!」
「大丈夫。だいたいわかっとう」 ハロメンが近しい存在になったのでファンタジーの時代はオワタ 仮面ライダーイクタとか書いてた人がまだ生きてたのか そういえば今のヲタって全然こういう書き物やらないな 高橋が整備施設に着くと、新垣がダークネスの機体を撃破する瞬間だった。彼女の搭乗するジムキャノン以外にジムが一機。――知らない気配だ。
「ガキさん、終わったみたいね」
そう通信をとばすと直ぐに返事が返ってきた。
「愛ちゃん? 遅いよ。もう全部倒しちゃった」
「みたいだね。ジムには誰が?」
――ジッ、というノイズが一瞬入り、ジムの搭乗者が名乗った。
「パイロット候補生の亀井絵里です! もしかしてあの、た、高橋愛さんですか?」
「そうだけど、候補生がなんで?」
高橋の問いに新垣は悔しそうに返事をかえす。
「ここは私たち以外全滅だよ……施設は守れたけど……まったく割に合わない」
「うん……でも、とりあえず無事でよかったよ。一旦――」
高橋は言いかけて言葉を切った。レーダーに未確認の機体反応があらわれたからだった。この状況でそれは敵機である可能性が高い。
「ガキさん、未確認の機体が一機近づいてきてる」
「本当だ。知らない反応……今、戦ってた奴らもそうだった」
「ってことは、また戦闘になりますか?」
亀井が訊ねると、高橋は「かもしれない」と言って、ビームライフルを近づいてくる反応の方へ向けた。
対象が目視できる距離まで来た。
新垣が「やっぱり敵だ」と告げる。
高橋のメインカメラにもその姿がはっきりと映っていた。茶色を基調としたモノアイのMS――先ほどまで戦っていた“敵”に違いない。
ただ、それでも彼女はライフルを撃つのを渋っていた。敵のMSから感じる気配が“敵”のものとは違っていたからだ。敵意も悪意もなく、それでいてこちらに対する好意も善意も感じない。無垢――とでもいえばいいのだろうか。
「愛ちゃん、なんで撃たないのさ。愛ちゃんがやらないのなら――」
「ちょっと待ってガキさ――」
高橋がとめるより速く、新垣がジムキャノンの肩部に備えられた主砲を敵に放った。
しかし敵機はそれをいとも容易く躱し飛び上がると、背面のバーニアを小刻みにふかし、こちらに向かって宙を立体的に駆けてきたのである。
新垣が続けざまに主砲を撃つ。弾が空を穿つ。当たらない。
致し方なく、着地の瞬間を狙い高橋がライフルを撃った。
しかし――狙いがそれた!? 高橋は一瞬そう錯覚した。
実際は敵機が投げたマシンガンがジム3の膝に当たり、その反動で射角がずれていたのだった。
再度構え直す高橋だったが、すでに敵機は眼前に迫っていた。
まずい、やられる――
そう思い、せめて相打ちに持ち込もうとビームサーベルに手を伸ばす。その瞬間――
『おーい! 待て待て待てって! 愛ちゃんだろ! 俺だ岡見だ!』
これにジム3の動きが止まる。
『三機とも通信きこえてるんだろ! ジムキャノンはガキさんか? ジムは……誰よ! まさか啓太か――いやあいつは今日休みだったか。なんにしてもこっちは敵じゃねえ!』
通信から聞こえてくる馴染みのある声に、ジム3とジムキャノンは見合うように動いた。
「五郎さんがなんで敵の機体に? 操縦は誰がしてるんですか?」
高橋が訊ねた。正直いまはパイロットが誰かのほうが気になっていた。新垣の射撃をものともせず、完璧に捉えたと思った自分の攻撃をも躱し、あまつさえこちらの制空権を大胆に奪取した人物……いったい、誰なんだ。
沈黙が数秒あり、ジッ――とノイズが入る。
『ほら、操縦してるの誰か聞かれてるよれいな』
『わかっとうよさゆ。えーと操縦はれいながしとると。訊いてきたのは黄色い方っちゃろ? 凄いっちゃね。多分こっちの方が機体性能は上やろうに。性能が同じならやられとったかもしれん』
「れいな? いったい誰なのよ。別の支部所属のパイロット?」
声を荒げてそう訊いたのは新垣だった。
「いや、ただの“運び屋”ったい」
「運び屋……って、スラムの人間か」
新垣は侮蔑するかのように硬い声で言った。
「まあまあガキさん。れいなっていうんだね。なんで敵機に乗ってるのかはわからないけれど、五郎さんが世話になったみたいで、ありがとう。それに機体性能が一緒だったとしても――」
『あーもう! 話は外に出てからしようよ! ここに三人は狭すぎるの!』
道重さゆみがそう声をあげると、亀井が「確かに一旦基地に戻って状況を整理しませんか」と同意した。
『あなた話がわかる! 誰なの?』
「私? 亀井絵里。ハロのパイロット候補生です」
『あーなんか言葉遣いが堅苦しい。軍人さんだから当然か。私は道重さゆみ。さゆでいいよ』
「さゆ、ね。わかった」
こうして六人は一度ハロ―プロジェクトの基地内へ戻ることにしたのだった。 とくに宇宙世紀というわけではないよ
書いてないけど年号はAC(アナザーセンチュリー)0208というオリジナル設定ですん
推敲せずに投稿欄に勢いだけでかいてるから文章糞なの許してね
そろそろ力尽きそうだけどw ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています