【2月1日 AFP】
オーストラリア北部に生息する愛らしい有袋類、ノーザンクオール(ヒメフクロネコの一種)の雄は、一生に1回しかない繁殖期が終わると死に至る。
これまでなぜ死ぬのかは謎だったが、雌との交尾を執拗(しつよう)に追い求めるあまり休息が不足し、
自らの命を縮めている可能性を指摘する研究結果が1日、英学術誌「ロイヤルソサエティー・オープンサイエンス(Royal Society Open Science)」に発表された。
研究チームは、北部特別地域(準州、Northern Territory)沖のグルートアイランド(Groote Eylandt)島で雄7匹、雌6匹のノーザンクオールの追跡調査を行った。
繁殖期を含む42日間のデータを分析した結果、最長4回の繁殖期を生き延びる雌よりも、雄の方がはるかに活発なことが判明した。
調査期間中、休んだり寝たりしていた時間の割合は雌が24%近かったのに対し、雄はわずか7%だった。
論文の主著者を務めた豪サンシャインコースト大学(University of the Sunshine Coast)のジョシュア・ガシュク( Joshua Gaschk)氏はAFPに対し、
ノーザンクオールの雄の睡眠時間はまったく足りていないように見えると指摘。
繁殖後に雄が死亡する原因について「初めて決定的な証拠をつかんだかもしれない」と語った。
■激情の繁殖期
ノーザンクオールの生存はすでに、オーストラリア大陸固有の生物ではないオオヒキガエルやネコ、キツネなどが持ち込まれたことで脅かされている。
ガシュク氏は雄が毎年死ぬということは種そのものが絶滅しかねないと危惧する。
ただ、「自殺的生殖」と呼ばれるこの極端な繁殖戦略を「何千年も続けて来た」からには、何らかのメリットがあるはずだとガシュク氏は言う。
有袋類に詳しい豪クイーンズランド大学(University of Queensland)のエイドリアン・ブラッドリー (Adrian Bradley)氏は、
ノーザンクオールよりもさらに小さいアンテキヌスのような小型有袋類の「交尾衝動」が、「雌の排せつ腔(こう)腺から放出されるフェロモンへの抗し難い反応」であることは確かだと述べた。
そうしたフクロネコ科の小型種は、繁殖期にかなり体重が減るという。
ただし、より体の大きいノーザンクオールについてはさらなる研究が必要だと同氏は忠告している。
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