心臓が左側、肝臓が右側というように哺乳類の体が左右非対称になるのは、
成長初期の胚(分裂を始めた受精卵)にある「繊毛」と呼ばれるアンテナが、
「物理的な力」を感知し、左右を決定づけるためだと解明したことを、
理化学研究所生命機能科学研究センター(神戸市中央区)などの研究チームが発表した。
ヒトやマウスの胚が成長する過程では、最初に背側と腹側、次に頭側と尾側、その後に左右が決まる。
胚の表面には繊毛とその周辺に左向きの体液の流れがある部分があり、繊毛がその流れをどう感知するのかが長年の謎とされてきた。
研究チームは、独自開発した解像度の高い顕微鏡で受精7日後のマウスの胚にある繊毛を観察。
その結果、体液の流れの力によって繊毛が折れ曲がっていることが分かった。
さらにこの繊毛は、特定の方向に曲げられた時のみ反応し、左側を決める信号を活性化させていることも突き止めた。
今回の研究成果は、今月6日付の米国の科学雑誌「サイエンス」オンライン版に掲載された。
同センターの加藤孝信研究員は「今後も研究を進め、内臓配置の異常に対する治療や製薬に役立てたい」と話している。
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202301/0016003885.shtml