主に食用の「ジャンボウサギ」を知ってもらおうと、全国的にも珍しい産地の秋田県大仙市がアピールに注力している。
明治期から飼育されてきたが、近年は農家が減少。文化的な観点からも保存・継承が課題となっている。
ジャンボウサギは、正式名称「日本白色種の秋田改良種」。体重10キロ近くまで成長する大型のウサギで、戦前は軍事的な需要もあり食用や毛皮に広く利用されていた。
1939年には秋田県内で約16万羽が飼育されていたが、農家の高齢化などで年々その数が減り、2021年は9戸の98羽にとどまる。
「地元の大切な畜産文化を、より多くの人に理解してほしい」。市はそんな思いで20年から、ジャンボウサギのPR活動を推進。
秋田大と協力し、柔らかくてクセのない鶏肉のような食味を生かした新メニューの開発などに取り組んできた。
今月からは「第1回100年フード日本全国フォトスタンプラリー」に加わった。
全国各地に伝わる「100年フード」を食べて、その土地に根ざす食文化に親しんでもらおうと文化庁が展開している「食文化機運醸成事業」の一環だ。
ラリーには、ジャンボウサギの主な飼育地の大仙市長野地区で、ジャンボウサギの肉を使った料理を扱う5店が参加。
利用者は指定のメニューを注文するともらえるカードを料理と一緒に撮影し、2枚以上集めたらメッセージとともにインスタグラムに投稿する。
優れた投稿者には沖縄旅行や鹿児島産の黒酢などの賞品が贈られる。
参加店の一つで、ジャンボウサギの鍋やレバーなどを提供している飲食店「ちゃんす長野屋」の松下孝蔵オーナー(63)は
「ウサギの肉は地元では冬の鍋料理として食べられてきた。この季節は脂が乗っている」と来店を呼びかけている。
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