新型コロナウイルスの感染爆発に伴い、人手不足が深刻化している中国で、感染経験者を優先的に雇用する企業が相次いでいる。
抗体ができて当面の再感染リスクが低いとみているためだが、未感染者への新たな差別を生んでいるとの指摘も出ている。
「陽性者か陽性経験者を求む」「陰性の人は連絡しないでください。時間の無駄です」――。
今月上旬、内陸部の河南省の宅配業者は、正社員2人を募集する際にこんな条件をつけた。
同省にある学校も調理人や助手など7人の採用を告知する要項に「オミクロン株感染から回復した人を優先雇用する」と記載した。
最近、中国メディアでは同様の事例が次々と報じられている。宅配や飲食業界では人手不足の深刻化で事業継続が難しくなっている。
国営新華社通信系の「新華ネット」は「オミクロンに感染してから3~6か月以内に再感染する確率は非常に低い」としており、
企業には感染リスクが少しでも低い従業員を採用したいとの思いがあるとみられる。
厳しい就職氷河期の中、大学生の間では「故意に感染した方が(就職に)有利になる」といった声も出始めている。
今月中旬には、有名女性歌手がSNSで、予定している年越しコンサートへの出演に影響を与えないよう
「積極的に(早めの)感染を求めた」と投稿し、批判が殺到して謝罪に追い込まれる騒動も起きた。
https://www.yomiuri.co.jp/world/20221228-OYT1T50082/