国内のサンマ漁船の大半を占める全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま)に所属する船の漁期が、24日で終了した。
今年は銚子漁港(千葉県銚子市)へのサンマの水揚げはこの日までなく、統計を取り始めた1950年以降、水揚げ量が初めてゼロとなることが確定した。
今年のサンマ漁を巡っては、銚子市漁業協同組合所属の大型サンマ船2隻が今月5日までに漁を打ち切って帰港した。その後に期待された他県の船の入港もなかった。
全さんまによると、今年11月末までの全国の水揚げ量は1万7869トンで、最悪だった昨年同期(1万7899トン)を下回った。
サンマは従来、晩秋から冬にかけて日本の沿岸を南下して銚子沖に近づくが、今年は12月に入っても、漁場は宮城県や岩手県から400~500キロ離れた公海にとどまっていた。
サンマの歴史的な不漁は、銚子市内に約70か所あるという水産加工の事業所にとっても頭の痛い問題で、サンマの開きを製造する業者などはサンマの確保に苦労している。
約20業者が加盟する全銚子市水産加工業協同組合の担当者は
「加盟事業者のうち4、5か所でサンマの加工を行っているが、国内でのサンマの入手が難しくなっているため、台湾からの輸入ものでやり繰りしているところが多い」と話す。
これまでも輸入自体は一般的だったが、全さんまによると、かつて1キロ100円程度と安価だった台湾サンマもここ数年は価格が上昇し、昨年は1キロ300円を超えたという。
さらに今年は円安が追い打ちをかけており、全さんまの大石浩平専務理事は「全国的にも、サンマを使った加工品が作れなくなってきているのではないか」と指摘する。
銚子市内の干物専門メーカーは、サンマの開きの製造を10年前の10分の1程度に減らしているという。
同社の担当者は「ここ数年の不漁でサンマの値段が上がり、消費者が離れてしまった」と嘆いた。
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