「子どもの声がうるさいからって公園を廃止してしまって良いのでしょうか?」。
本紙「声のチカラ」(コエチカ)取材班に長野市民から疑問の声が寄せられた。
都会では子どもの声を嫌って保育園などの用地が確保できない事例があると聞く。いったい何があったのか。現地を訪ね、関係者に話を聞いた。

■「長い間ご利用いただき、ありがとうございました」と張り紙

公園は長野県長野市青木島町大塚にある青木島遊園地。小学校の体育館一つ半ぐらいの広さで閑静な住宅街にある。
記者が初めて訪れた11月中旬はツツジやケヤキが見事に紅葉していたが、遊び回る子の姿はなかった。

ふとフェンスの張り紙を見ると「青木島遊園地は、令和5年3月31日をもって廃止いたします」とあった。
市役所が作った張り紙だ。
原状復旧工事のため今月ごろから閉鎖するとし「長い間ご利用いただき、ありがとうございました」と結んでいた。

同課によると、青木島遊園地は2004年4月に地元から要望を受けて開設された。
放課後には児童センターで過ごす大勢の子どもたちが遊びに来た。
夕方の遅い時間帯には保護者たちのお迎えの車が相次いで出入りした。
だが、まもなく一部の近隣住民から「うるさい」「子どもたちが走り回ってほこりが舞い、車が汚れる」などと苦情が出るようになったという。

遊園地の隣で暮らす宮崎宜義さん(85)も「子ども好きなので声は気にならない。子どもたちのためにも存続してほしい」。近くのパート女性(66)は「子どもの声が気になることもある」としつつ、県外で暮らす孫が来た際に利用することもあり「残してほしい気持ちは強い」と話した。

https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2022120200129