大学進学を果たしたが、家庭の収入は年金だけ

こうして、大学進学を果たすことができた北条さんだが、相変わらず家庭の収入は年金だけだ。そこで、民間の団体が支給している給付型の奨学金を入学後に獲得し、年間60万円、4年間で240万円給付してもらえることになった。

「これは入学時に全学年で2人しか選ばれない奨学金だったらしく、審査は相当厳しかったようです。僕の場合は親に収入がなく、また障害年金は非課税所得の扱いのため、所得は0なんですね。高校時代の成績も皆勤賞と評定平均は基準を満たしていたこともあり、選ばれることができました。そのほか、大学側が単年度ごとに成績が優秀でかつ家計が困窮している学生を対象にした、給付型奨学金40万円を2回もらっています。だから、返済不要の奨学金は合計で320万円ですね。

そして、日本学生支援機構(JASSO)から第一種奨学金(無利子)の5万円と第二種奨学金(有利子)の12万円、それぞれ満額で毎月17万円借り続けました。
最終的に大学院まで進むので、借りた総額はトータルで1060万円近くになります」

なかなかの額を借りたわけだが、冒頭でも紹介したように北条さんは奨学金を学費だけではなく、収入のない家庭にも入れていたというから、余裕があったわけではなかった。
https://toyokeizai.net/articles/-/634973?page=3