歌舞伎俳優の尾上菊之助(45)が29日、都内で行われた、新作歌舞伎「ファイナルファンタジー X」(来年3月4日~4月12日、東京・IHIステージアラウンド東京)の制作発表会見に、歌舞伎俳優の中村獅童(50)や尾上松也(37)らと出席した。
ゲームの歌舞伎化は史上初の試み。2019年には宮崎駿氏(81)の漫画「風の谷のナウシカ」の歌舞伎化作品に主演した菊之助が、再び新たな挑戦に踏み出す。
日本のゲーム史に残る大作と、日本を代表する伝統芸との大型コラボ。その実現に一役買ったのは、歌舞伎界も苦しめた新型コロナウイルスのまん延だった。
コロナ禍で歌舞伎の上映も中止となる中、菊之助は久々に「ファイナルファンタジー(FF)X」をプレイ。「心がバラバラだった登場人物たちが葛藤と向き合い、諦めない姿勢がコロナ禍の世界、戦争が起きている世界に強いメッセージを届けられる」と確信した。
自身も落ち込んだ気持ちを「FFXに救われた」とし、「コロナ禍で大変な日本に少しでも元気を届けたい」と、同ゲームを手がけるスクウェア・エニックスに自ら企画書を提出。熱いビデオレターで口説き落とし、歌舞伎化を実現させた。
上演時間が9時間になる見込みであることから、菊之助の発案で、座席には高弾性ウレタンクッションを完備。「Twitterで『9時間死ぬ』とのお声があって。腰とお尻の優しい設計にしないと」と試行錯誤した。
獅童や松也ら出演者には、菊之助が直接オファーしたという。獅童は「びっくりしましたけど、うれしかった。衣装に袖を通した時はテンションが上がりました!」と話した。
菊之助が演じる主人公・ティーダと中村米吉(29)が演じるヒロイン・ユウナの淡い恋模様も再現される。
米吉は「菊之助のお兄さんと恋をしていく仲はあまりなかったので楽しみです」としつつ、「(坂東)彦三郎のお兄さまから『胸が小さい』とお叱りを受けました」と笑いを誘った。
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