エスカレーターの事故を防ぐため、名古屋市が利用者に対し、歩かずに立ち止まって乗るよう努力義務を課す条例を来年に制定する方針であることが分かった。10日、市議会総務環境委員会で明らかにした。

来年2月に条例案を市議会に提出し、同5月の施行を目指す。

同様の条例は昨年10月、埼玉県が全国で初めて施行しており、名古屋市で制定されれば、全国で2例目、政令市では初となる。
市によると、条例案では「エスカレーターは立ち止まった状態で利用しなければならない」とし、駅や商業施設などの管理者には周知することを義務付ける。罰則はない。

2026年には名古屋市など愛知県内でアジア競技大会が開催され、県外や海外から多くの人が訪れることが見込まれることもあり、市の担当者は「周知徹底を図るため、来年の制定を目指す」としている。
市営地下鉄や鉄道会社はこれまでも注意を促すキャンペーンをしているが、担当者は「条例制定で官民一体となって啓発に取り組む」と話す。

昨年度、市内のエスカレーター関連の事故で救急隊が出動した件数は133件。
市が今年4月中旬から5月下旬、駅などの10カ所のエスカレーターで利用者を調べたところ、21%が歩いたり走ったりしていた。