埼玉県幸手市の木村治夫市議(64)が今年4月ごろ、新型コロナウイルス対策で政府が調達し在庫となっていた布製マスクを厚生労働省から受け取り、その後少なくとも約1万4千枚を地元自治会関係者に無償で渡していたことが4日、分かった。
専門家は、選挙区内の有権者への物品寄付を禁じた公選法に抵触する可能性があると指摘している。
木村氏は共同通信の取材に「マスクが欲しいという地元の要望に応えただけだ。ただ、誤解を招く行為でうかつだった」と述べた。
木村氏によると、政府が調達した布製の「アベノマスク」に関し、在庫分の配送を受け付けていた厚労省に申請し、約3万枚を入手。うち約1万4千枚を自治会関係者に渡した。
この関係者は「市のコロナ対策だと思って区長らに分け、自分も市議の名前を出さずに約400世帯に渡した」と話した。
マスクの入った段ボール箱には、送り主が厚労省医政局経済課(当時)、宛先を木村氏とした送り状が貼られていた。
公選法に詳しい日本大の岩井奉信名誉教授(政治学)は、「選挙区内で物品の提供をしており、市議の名前を出さなくても公選法違反に当たる可能性は高い」と指摘。
「善意であったかもしれないが、量も多く、市議として軽率な行為だ」と話している。(共同)