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格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーション機内でマスク着用を拒否してトラブルとなり、客室乗務員を負傷させて航空機の運航を妨害したとして傷害や威力業務妨害などの罪に問われた
明治学院大の元非常勤職員、奥野淳也被告(35)の初公判が17日、大阪地裁(大寄淳(おおよりじゅん)裁判長)で開かれた。
被告は「ノーマスク」姿で無罪を主張。「歴史を振り返っても人間というものは、不安や恐怖をあおられるとヒステリックな社会反応を生じさせます」との持論を展開した上で、閉廷後の取材に、マスク着用を求めるのは「同調圧力」だと批判した。
健康上の理由で法廷でもマスクを着用しないと事前に表明していた奥野被告。この日、地裁職員は被告の入廷前に、証言台の前方と側面を囲うように高さ2メートルほどの透明なついたてを設置した。
証言台に立った奥野被告は罪状認否を前に、「マスクを着用していないからといって、排除するような過大な反応が本当に正しいのでしょうか」と裁判長に呼びかけた。その上で「威圧や暴行はしていない」と無罪を主張した。
弁護人も冒頭陳述で立ち上がり、証言台の周囲を歩きながら、マスクの非着用を認めない不当性を身ぶりを交えて説明。
起訴された事件の共通点は奥野被告の暴力ではなく「社会の不理解だ」とし、「マスクを着用できない単なる少数者が悪者に仕立て上げられてしまった」と訴えた。弁護人はマスク姿だった。
奥野被告は公判後に産経新聞の取材に応じ「幼少期からぜんそくなどがあり、マスクをずっと着けるのはしんどい。どういう感染対策をするかは、個人の判断だと思う。同調圧力は正しくない」と話した。
起訴状などによると、奥野被告は令和2年9月、釧路発関西国際空港行きの機内で客室乗務員にマスク着用を求められたが拒否。離陸後に付近の乗客からマスクをしないことをとがめられ、激高した。
その後、客室乗務員の腕をねじって負傷させ、機体は新潟空港に臨時着陸した。被告はそこで降ろされ、大阪府警が昨年1月に逮捕した。
奥野被告は令和3年4月にも千葉県館山市の飲食店でマスク着用を拒み、110番で駆け付けた警察官を殴って逮捕され、計4件の事件で起訴されている。