「居酒屋文化」消滅の危機 大手チェーン2割閉店は序の口、長引くコロナ禍で“ちょっと一杯”皆無に
https://news.yahoo.co.jp/articles/3e6f28aede04af6b588dd4f0774ec469d7b37ed9

 外食ジャーナリストの中村芳平氏はこう言う。

「居酒屋は忘新年会と歓送迎会で、年間売り上げの多くを占めます。年末年始が不発で、売り上げが少なかったり、借入金の返済期限が迫り、仕入れ費用が払えなくなる居酒屋もあります。
特に大手チェーンは、駅前に店を構え、法人の宴会需要で成り立っていた。会社が飲み会の自粛を求め、テレワークや、地方移住で通勤客が減り、仕事帰りに『ちょっと一杯』というのもなくなり、4割近い法人需要が吹き飛びました。
昨年の居酒屋の市場規模は、19年に比べ、4分の1にまで縮小した。思ったより倒産件数が少ないのは、コロナの協力金があったからです。協力金の給付がなくなれば、バタバタと倒産する居酒屋も出てきます。店を閉めて、協力金をアテにして食いつないでいる居酒屋もありますから」

 今後、コロナが収束したとしても、すぐに居酒屋に客足が戻るとは限らない。

「店舗数2割減というのは主要14社の話であって、非上場企業はもっと悲惨です。店側はこの2年間ですっかりやる気を失い、客もそんな店に魅力を感じなくなり、わざわざリスクを冒してまで居酒屋で飲みたいと思わなくなった。
デリバリーやテークアウトで人気グルメをオーダーし、好きな時間に家族と自宅で食事を楽しむことができますからね。すかいらーくグループは昨年末、アルコール1杯99円のキャンペーンをやりましたが、集まる場所のない年金生活者が昼間からどっと押し寄せた。
この2年間、『飲むな』と言われ続けてきた心理的ダメージも大きく、人々の生活様式も大きく変わった。飲食店同士が食い合いになっている状況ですから、かなり淘汰されるでしょう」(中村芳平氏)

 一度、始まった「居酒屋離れ」は、そう簡単に止まりそうにない。