スクナ「小僧、何度言ったらわかる。目障りだ。そこで動かず立ってろ…仲間の元に送ってやる」

スクナは思案する。
あの日下部アツヤ…とかいう教師。
入れ替わった時に俺のフーガを無駄打ちさせたどころか呪力の循環まで滅茶苦茶にしていった。五条を越える呪力操作ができなければこんな芸当はできない。
今のオレは自然回復を待たなければ…イラコツヅラですら発動できんな。
領域展開ができる術師が伏せていればかなりまずい。小僧を軽く屠って一旦裏梅と合流するか。

スクナ「聞こえなかったのか小僧?邪魔だと言ってる。お前は相手にする価値もないことをいい加減理解しろ、とにかくつまらんのだ」

虎杖「小僧じゃない、俺の名は────」

スクナ「何を言っている」

虎杖悠二は既に死んでいる。
正しく言えば、“虎杖悠二になるはずだった魂”は、強制された受肉によりとうの昔に滅していた。

エネルギー…

吸収…

アリーナ…

スクナは既に引き込まれていた。
巨大な手がモニュメントの如く聳え立つ、“領域”

スクナは驚愕した。
どこかで見覚えがある…この結界の心象風景…そうだ、小僧だ。あの小僧の中で見た。だがそんな訳が無い。身体に同居していた時、小僧の肉体にはそんなものは刻まれていなかったのだから。

スクナ「お前は…誰だ」

廻戦「廻戦…呪術 廻戦だ」
赤子であった虎杖悠二の肉体にケンジャクが外法を施し、受肉させた魂の名。
力としての“呪術”を初めて世に広めた人物。そして、その呪われた力の絶滅を願った人物。
記憶と術式は外法により封じられていたが、後者は日下部の入れ替わりによってサルベージされていた。

廻戦「これが 俺の呪い〈願い〉」
「ギリギリで…掴めた」
「スクナ、決着を付けよう」

スクナ「小僧、お前はどれだけつまらないのだ。いよいよ持って癪に障る、不愉快だ」

呪力0、拳のみ、勝者あり。
────呪いはもう、廻らない、この戦いの中ですら。

『呪術廻戦』完 
芥見先生の次回作にご期待下さい