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「見てすぐ目も鼻も整形てわかるっしょ」という表現について、「『整形手術』を受けたという事実は、一般人においては肯定的に捉える者も否定的に捉える者も含まれ得る事実ではあるものの」としたうえで、実際に書かれたネット掲示板では「『整形』を否定的な意味合いで書き込む者が多いことに照らせば、原告の社会的評価を低下させる内容」と名誉毀損を認めた裁判例もあります(東京地裁令和2年12月24日判決)。


──整形の事実が「真実」であってもダメなのでしょうか。

特定人に関して社会から受ける客観的評価を低下させる表現を公表した場合でも、それが「公共の利害に関する事実」に関するものであり(公共性)、かつ、「目的が専ら公益を図ること」にあった場合で(公益性)、「摘示された事実がその重要な部分について真実であることの証明があったとき」または「真実と信じるに相当な理由があったとき」(真実性または真実相当性)は、違法性(または故意過失)が阻却され、名誉毀損についての責任を負わないという判断になります(最高裁昭和41年6月23日判決)。

ただ、「芸能人が整形しているか否か」は、一般公衆に知らしめることが社会的に正当であると認められる事実や社会一般と利害関係を有する事実というよりも、「あんなに綺麗だけど実は整形なんだよ」という興味本位・暴露的な要素が強いものであり、公共の利害に関する事実と認められる可能性は低いと思われます。