取り組みに参加する大島由紀さん(59)は、非正規雇用の旅行添乗員として働いています。

大島さんは20年以上、同じ派遣会社に登録して主に海外旅行の添乗に従事していて、16年前の2008年にもNHKの取材に応じ待遇改善を訴えていました。

しかし、それ以降も賃上げされたことはほとんどなく、現在の給料は時給でおよそ1900円だということです。

さらにコロナ禍以降、海外旅行のツアーが減って収入は不安定になっていて、物価の高騰が続くなか、事務の仕事などもして生活をやりくりしています。

姉と2人暮らしの大島さんは、このままでは老後のための貯金を取り崩さざるをえないと不安を感じています。

2月には、「非正規春闘」をすすめる組合の担当者と一緒に会社側と交渉に臨み、賃上げの要求を行いましたが、会社側は「応じられない」と回答し受け入れられなかったということです。

2月28日現在、会社からの回答は変わらないということですが、大島さんは、今後も会社側と交渉を重ねていく予定です。

交渉後、大島さんは「長引くかもしれませんが、諦めずに交渉を続けていきたいと思います。添乗員の仕事は心身ともにとてもハードですがこの仕事に就きたいという人がいる限り続けられるように処遇改善と待遇向上を目指していきたい」と話していました。

大島さんと一緒に交渉に臨んだ東京東部労働組合の菅野存執行委員長は「非正規春闘という枠組みで、同じように戦う仲間と一緒にアピールしていけるのは非常に心強いです。会社を支えているのは非正規も含めた労働者だと思うので、立ち上がって声をあげた働く仲間たちと共に処遇改善を勝ち取っていきたい」と話していました。