人間の汚いところを食った事がある奴Part3
復活!!
俺はご飯の上に痰をかけて玉子かけご飯風にして食べるのが好き。 子どもの頃、一緒につるんでいたダチで「ダニちゃん」という子がいた。
ダニちゃんはとにかくすごい男で、というかすごい悪食でなんでも食べる子だった。
ダニちゃんの特技は給食を全部混ぜ合わせ、ぐちゃぐちゃにして食べることで、
ご飯(もしくはパン)もおかずもデザートも牛乳まで、ひとまとめにして先割れスプーンで
ぐちゃぐちゃにかき混ぜ、イッキに食べることを日課としていた。
それからダニちゃんは虫も好物だった。飛んでいる蝶々やトンボを器用に捕まえ、
そのまま口に放り込んだ。俺が「美味いの、それ?」と聞くと「うまい」と言っていた。
そんなダニちゃんはクラスの男子からは羨望の的だったが、
女子からは圧倒的に嫌われていた。
ある日、俺とダニちゃんは「川口浩探検隊ごっこ」でマンホールの蓋をあけ、
下水道の探検に出かけた。下水道の中は暗くて臭く、
正直俺はすぐに逃げ出したかったが、ダニちゃんがずんずん進むので
仕方なく、ついて行った。ダニちゃんは肝の座った男だった。
やがて、地上に出るとダニ隊員が手に何か持っている。10個ほどのタニシだった。
「それどうすんの?」と俺が聞くと「食う」と当然のように答えた。
ダニちゃんは石でタニシを砕き、「美味い美味い」と全部たいらげた。
翌日。学校に行くと、いつもうるさいダニちゃんが元気なさげにしている。
でも子どもだから、昨日のタニシが原因だなんて夢にも思いつかない。
そして最悪の時はきた。
給食の時間だ。小学生にとって一番幸せな時間。ダニちゃんのごちゃ食いも見れる。
給食当番が給食をよそい、いい匂いが漂う。全員が席につき、
日直が「いただきます」の号令をかけ、今まさに食べようとしたそのとき、
給食の匂いをかき消す異臭がした。それは臭い、というより刺激的とも
いうべき気体で、せき込む生徒までいた。俺の隣の席の女子が
「なんだか目が痛い」と言ってたのが印象的だった。
その匂いの元はダニちゃんだった。
クラスみんなの視線がダニちゃんに集中した。
ダニちゃんは目に涙を浮かべていた。何か辺だ。で、それは起きた。
ダニちゃんの半ズボンと太股の間から、ペンキの缶をひっくり返したような勢いで
下痢便が噴出したのだ。それは下痢というより、うんこ味のソフトクリームが
溶けたみたいな、トローっとしたクリーム状の物体だった。
クラス中がパニックに陥り、もう給食どころではなくなった。
ダニちゃんの隣の席だった女の子はスカートと上履きにうんこがついて
しまい、半狂乱になって泣き出した。すさまじかったのは匂いで、
一体、何百人分のうんこを集めたら、こんな匂いになるのだろうと思うほどだった。
あちこちで吐く生徒もいた。
先生はダニちゃんのズボンを下ろしたが、それでも下痢は止まらなかった。
救急車が来て、救急隊員の人はうんこまみれになりながら、ダニちゃんを
担架に乗せていった。
「大人は大変だなあ」と人ごとのように思っていた俺だったが、
やがて先生は病院に行かなければならないため、ダニちゃんと一番仲が
いい、という理由で俺に後始末をおしつけていった。
俺は何度もモップでうんこを拭い、バケツで洗う、という作業を繰り返した。
みんなは「偉いなあ」と褒めてくれたが、全然嬉しくなかった。
皆勤賞を狙っていたダニちゃんだったが、結局1週間入院した。
そしてダニちゃんのあだ名は「ゲリアン」になり、俺はダニちゃんが嫌いになった。
<完>