うちの女房はやまがで、裏はすぐ山。結婚して長男が腹にいるとき実家での
こと。女房の親父様が裏山でしいたけのほだ木切りをしていて、10時のお茶
持って夫婦でいっただ。親父様はお茶の時間ってわかってたもんで火をたいて
一服してまってた。じいちゃんお茶持って来たよ。って言うと、ほれそこ、って
指差した。見るとクヌギのかれっぱの上にトッコ虫ならんでた。女房はお茶の
仕度しながらそのトッコ虫火いくべるだ。おどけて見てるとぼやで箸作ってその
トッコ虫火ん中コロコロころがして、そのうちトッコ虫ふくらんできて、プーッ
と大きくなったと思ったら穴あいてプシューと湯気が出た。女房はぼやの箸でつま
んで、ふん!と俺によこそうとした。おどけて、なんだ!っていうと、頭はかた
いで身だけにしとき。って言ったもんで、喰うだか?って聞くと、香ばしいよ!
って言われた。こんなのむらって先だいじょぶかな?って思ったがあんのじょう
尻にしかれた。